2013年8月 9日 (金)

河野談話から20年 石原元官房副長官発言 ‐宮澤・河野の尻拭いをさせられる日本人・日系人‐

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(グレンデール市内に設置された慰安婦像 msn産経ニュースより)


従軍慰安婦「問題」における諸悪の根源、河野談話が発表されてから20年を迎えた8月4日、地元の県紙・新潟日報に当時官房副長官だった石原信雄氏のインタビューが掲載された。ネットで検索したところ、全く同じ内容が同日付西日本新聞にも掲載されているので、これは共同通信の配信によるものだと断定できる。

以下、その内容を記す。


-政府として、どのような調査をしたのか。

「国の各機関のほか、地方公共団体の公文書、米国の公文書館の文書も調べた。輸送協力や衛生管理など、慰安婦の存在を前提としたいろいろな文書が出てきたが、強制性を直接裏付ける資料は見つからなかった」

-にもかかわらず、強制を認めた理由は。

「最終的に、宮沢喜一首相や河野官房長官の判断で、慰安婦とされた人たち本人の話を聞いた。業者による募集の過程で、朝鮮総督府の警察官が間に入って応募を強制したり、普通の労働者として軍需工場に勤務させるとだましたりしたケースがあった。総じて、本人の意に反する形で慰安婦にされた人がいることは否定できない、という判断になった」

-河野談話には、さまざまな批判があり、見直しを求める声もある。

「資料によらず当事者の話を基に認定した手法が間違いだとの批判は当時からある。この問題は日本政府側から見るか、慰安婦側から見るかで様相が異なる。河野談話のポイントは慰安婦の側から見たという点だ。彼女たちからすれば、明らかに意に反する形で慰安婦にされた人がいるということ。未来志向の日韓関係を築くため、韓国側も納得する形で決着させたいとの気持ちもあった」

「せっかく誠心誠意謝罪したのに、それが間違いだったという議論になると、収まった話がまた蒸し返される。当時の韓国政府も、河野談話で一応の区切りを付けたという認識だった。宮沢内閣で苦労して結論を出したことを、単純に否定しても前には進まない」

-元慰安婦に償い金を支給した「女性のためのアジア平和国民基金」(アジア女性基金)の評価は。

「賠償については日韓請求権協定で完全かつ最終的に解決され、取り上げる余地がないので、国民の協力をいただき、善意の見舞金を差し上げようとした。首相のおわびの手紙も届けた。フィリピンやオランダなどでは役割を果たしたが、いちばん念頭にあった韓国では受け取り拒否があり、不完全な形で終わった。非常に残念だ」

-安倍晋三首相の対応をどう見るか。

「首相になってから、この問題を慎重に扱っておられる。首相は国益を背負っており、自分の歴史観や政治信条そのままでいくわけではない」


こうした石原氏が語る当時の事実は、本ブログの記事「「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 2 ‐「捏造」朝日と「反日」宏池会‐」で既に指摘したことであり、特に目新しい事実はない。

改めて事実を明確にさせていただくと、当時最大限の努力を尽くし、「慰安婦の側から見」て従軍慰安婦の存在を証明すべく日本政府が総力を挙げて調査したものの、結局、「強制性を直接裏付ける資料は見つからなかった」ということだ。

にも拘らず、「宮澤喜一首相や河野官房長官の判断で」、「強制連行」という存在しない事実を韓国の国益に沿って認めた。それが歴史的事実だ。

政府がなすべきであったことは、日本側の調査では「強制連行」が存在したということは確認できなかった、と韓国に伝えることだけだった。ところが当時の、そしてそれに続いた無能な内閣は、アジア女性基金などという訳の分からないものを設立し、あたかも日本に後ろ暗いところがあるかのような対応をした。

そのような行為が、どれほど国際的に日本の将来に悪影響を及ぼすかを考えることなく、その場しのぎで韓国の要求に唯々諾々と従った、宮澤喜一首相、河野洋平官房長官を始めとするバカな政治家の行動は全くもって理解不能だ。

そうした連中に加え、河野談話発表当時、事務方のトップ官房副長官だった石原氏がいまだに、「せっかく誠心誠意謝罪したのに、それが間違いだったという議論になると、収まった話がまた蒸し返される」という愚かな発言をするとは、保身だとしか考えられない。

同氏が言うように、従軍慰安婦「問題」が「収まった話」なのであれば、百歩譲ってその主張も多少は理解できる。それでも、事実に基づかない謝罪を主権国家が行うことは十分異常ではあるが。

ところが河野談話発表以降も、韓国は何度でもそれを蒸し返し、全く区切りなどついていない。そうした状況にも関わらず、「(河野談話を)単純に否定しても前には進まない」と石原氏は述べるが、そもそも同談話によって事態が「前に進まない」というのが事実だろう。

というのも、当時、韓国の主張は根拠なしと明確に否定しておけば、その後の韓国による不当な主張に対して、「証拠を明確にせよ」と反論することもできた。もっとも、韓国は百年一日の如く、慰安婦(だったとされる人々)による証言が何よりの証拠だとの主張を続けているので話にならないが。

また石原氏はアジア女性基金について、「いちばん念頭にあった韓国では受け取り拒否があり、不完全な形で終わった。非常に残念だ」としているが、事前に韓国側とすり合わせも行わずそのような基金を設立したのだろうか。もしそうだとすれば「無能」の誹りを免れない。そうではなくて、一度は合意したにも関わらず、韓国側が受け取り拒否に転じたのだとすれば、その点を明確にすればよい。何かそうはできない理由があるのか。

いずれにせよ上記インタビューにおける石原氏の主張は、自身、そして宮澤内閣の愚策を正当化しようとするばかりか、安倍首相の行動をも縛ろうとしている。盗人猛々しいと言おうか何と言おうか。その無責任さは、国益を害しても何ら恥じることのない、「悪官僚」による典型的な責任回避だ。

韓国に関する考え方として本ブログでは度々述べているが、ゆすり屋に一度金を渡せば、次は金を渡したことをもってまたゆすられる。そしてそのゆすりには終わりがない。朝鮮進駐軍に代表される韓国・朝鮮人の無法さを戦後数十年で十分理解していたはずの日本政府が、何故、従軍慰安婦(だけではないが)という「因縁」を、正論によって打ち払うことができなかったのか理解できない。

そのように考えれば、宮澤喜一氏、河野洋平氏が、主観的判断に基づいて行った行為は、そしてそれをサポートした石原氏の行動は、過去、現在、そして未来を生きる日本人に対する大罪だと断じざるを得ない。

河野談話は、欧米各国政府、及びその地方政府、そしてNY Timesなどの海外メディアが日本を批判するための「根拠」となっている。低能な政治家は、その場限りで韓国側の顔を立てれば全てが解決すると考えたのかもしれない。しかし国際社会では、一度罪を認めた以上、それが全ての基準となる。宮澤氏はサンフランシスコ講和条約にも参加した「国際派」と言われていたが、所詮自分の在任中の争いを好まない官僚であり、未来の日本を見通す能力などない三流政治家であった。

そうした誤った決断により、今や世界における従軍慰安婦「問題」は、韓国系アメリカ人を中心としたロビー活動によって、もはやコントロール不能になっている。

彼らはアメリカで、「強制連行された朝鮮人慰安婦はホロコーストと同等の人道に対する罪である」と主張。ニュージャージー州、ニューヨーク州などに「慰安婦の碑」が設置され、「日本軍は性的奴隷(Sexual Slavery)にするため20万人を超える少女を強制動員した」というような全く事実に基づかない話が広がっている。

7月30日には、カリフォルニア州グレンデール市に慰安婦記念像が設置されたが(7月31日付msn産経ニュース参照)、この件は様々な問題を顕在化させた。

8月1日付msn産経ニュースによれば、像の設置をきっかけに、当地の日系人は、「日系の子供がいじめられたとの噂を聞いた」、「日系企業の進出が妨害される」というような不安を抱いているという。

また、グレンデール市は東大阪市と姉妹都市関係にあるのだが、グレンデール市のウェブサイトには像設置の背景として、「姉妹都市が碑や記念物の設置に興味を寄せていると表明した」、「維持費は姉妹都市により賄われることを保証する」などと記述されていたという。

これに対して東大阪市は、野田市長名の抗議文を7月25日付でグレンデール市長宛てに郵送し、「このような意見表明をした事実はない」と修正を求めるとともに、「像設置は市民の心証をいたく害しており、誠に遺憾」としているという(8月2日付msn産経ニュース)。韓国は世界水泳を誘致するための文書すら偽造して恥じることのない国とはいえ(7月22日付livedoorNEWS参照)、あまりに日本は舐められている。

さらには、グレンデール市での慰安婦記念像の除幕式では、安倍首相をナチスになぞらえるような写真を掲げる韓国系と思われる人物まで現れた(以下の画像参照)。

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これを見て異常だと感じない日本人はいないだろう。戦後何十年にも亘って、日本政府及び国民は韓国による「言いがかり」に対して鷹揚過ぎた。韓国併合に対する負い目、反日勢力による活動などによってそうした態度を取らざるを得なかったのかもしれないが、それによって日本人の名誉が汚され、日系人は身の危機すら感じるような状況を招いてしまった。駄々っ子レベルの韓国側の主張に対して「大人の対応」をしてきた日本ではあるが、さすがに堪忍袋の緒が切れて当然だ。

8月2日付産経新聞社説は、「慰安婦問題で沈黙することは、韓国側の一方的な言い分を認めることになりかねない。曲解を正すため、日系人も含め官民あげ、あらゆる機会を捉えて史実に即した発信をしていくことが必要だ」と主張。

また読売新聞も8月1日付社説で、「そもそもいわゆる従軍慰安婦問題が日韓間の外交問題に浮上したのは、92年のことだ。朝日新聞が『日本軍が慰安所の設置や、従軍慰安婦の募集を監督、統制していた』と報じたのが発端」であり、その際「政府は徹底的に調査したが、日本軍による強制連行を裏付けるような文書は発見できなかった」と説明。

そして、韓国系アメリカ人による「米下院も欧州議会も慰安婦問題で対日批判決議をした」、「日本政府も河野談話で強制連行を認めた」との主張について、「河野談話を慰安婦強制連行の論拠にしているのは間違いない」としたうえで、「…(日本は)強制連行の有無に関しては、正確な事実関係を示し続けていくべきである。日本側は慰安婦問題での対応について、内外に丁寧に粘り強く説明していくしかない。英語による発信が特に重要だ『性奴隷』との曲解を是正するためにも、20年前の河野談話の見直しが欠かせない」とし、同談話を批判している。

毎日新聞の8月4日付社説は、河野談話肯定の立場から、「今回、米国で像が建てられたのは、日本政府が国際社会に、こうした河野談話やアジア女性基金などの説明を十分にしてこなかったという、外交発信の失敗も大きい。今からでも遅くはない。民間有識者らも巻き込んで、理解を得る取り組みを強化すべきだ。同時に韓国側にも冷静な対応を求めたい」と主張。韓国側の視点からのみ従軍慰安婦を見る毎日としては、精一杯の論評だと「評価」したい。

さて、読売などから「従軍慰安婦『問題』の元凶」と名指しされている朝日はどうか。慰安婦像設置を他紙と比べて圧倒的に少ない回数でストレートニュースとして報道したのみであるのを見ると、特に今回のグレンデール市での出来事に関心はないようだ。さすが朝日、「ブレない!」(笑)。

この問題を解決するためには、以前も本ブログの記事で主張させていただいたように、強制連行を証言した元日本軍人、朝日新聞関係者、福島瑞穂氏など慰安婦側の弁護士、そして河野洋平氏などの政治家を証人喚問して事実を解明し、それを海外に積極的に発信していくしか方法はない。それが軋轢を生むとしても、日本と日本人、さらには日系人のためにはどうしても必要なことだ。

悪い意味での関連情報として、日本の大手メディアではほとんど報道されていないが、自虐組織(あるいは在日による組織か)・日本軍「慰安婦」問題解決全国行動という団体が、従軍慰安婦だったと主張する金学順氏が初めて公の場で自身の「経験」について発表を行った8月14日を国連の記念日(言わば「従軍慰安婦記念日」)にするためのキャンペーンを行っているらしい(8月8日付聯合ニュース、及び「8月14日を国連記念日にしよう!」キャンペーンfbページ 参照)。

日本政府がどれほど危機感を持っているのか分からないが、韓国政府による「工作活動」は今この瞬間にも着実に成果を上げている。そのことを一人でも多くの日本人が認識し、政治家に働きかけていかなければ、将来的には在外日本人、あるいは日系人だけではなく、観光旅行に出かける日本人までもが、外国人からいわれなき中傷を受ける恐れがある。

宮澤・河野の尻拭いはもう勘弁してもらいたい。自ら積極的に発信しなければ、決して国際社会に理解してもらうことなどできない。「敵」は「嘘も百回つけば真実になる」と考えているような連中だ。奥ゆかしさは日本人の美徳ではあるが、もうそんなこと言っていられる状況ではない。

最後に、日本人への追い風の話をひとつ。'OINK'という英語をご存じだろうか。「ブーブーという豚の鳴き声」という意味だが、同時に'Only in Korea'、つまり韓国でしか起こることのないあり得ない出来事、あるいは豚の鳴き声レベルの韓国人によるまともではない戯言という風にも使われる。英語ができる方は'Only in Korea'で検索していただくと、英語圏の人たちによる面白い韓国描写を見ることができる。

この言葉を紹介したのは韓国人をバカにしたいからではなく(まぁ、それも少しあるが…)、韓国人による行動を異常だと感じているのは日本人だけではなく、欧米人も同様であることを知っていただきたかったからだ。それを踏まえれば、日本がきちんと河野談話を見直し、その結果を世界に発信していけば必ず国際社会から理解は得られる。これまでの、この問題における日本に対するマイナス評価があまりに大き過ぎるので時間はかかるだろうが。

最初は激しい批判に晒されることも予想されるが、戦略的、かつ(日本人の長所である)誠意ある対応をしていけば必ず道は拓ける。日本人が考えている以上に、日本と日本人は世界で尊敬されている。安倍内閣こそ、日本と日本人が戦後背負ってきた(あるいは反日勢力によって背負わされてきた)重荷から解放してくれる希望であると信じている。


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「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 2 ‐「捏造」朝日と「反日」宏池会‐
「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 3 ‐河野洋平・朝日新聞・福島瑞穂の証人喚問しかない‐


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2013年6月14日 (金)

「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 3 ‐河野洋平・朝日新聞・福島瑞穂の証人喚問しかない‐

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(写真はWikipediaより)

前回の本ブログの記事「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 2 ‐「捏造」朝日と「反日」宏池会‐では、吉田清治氏の虚偽の証言、朝日新聞の(意図的と思われる)誤報、そして宏池会などの反日政治家が従軍慰安婦「問題」を生み出したことについて議論した。とりわけ「河野談話」は、欧米などからも日本がいわれなき非難を浴びることとなった元凶であることを指摘させていただいた。

この捏造された「問題」を増幅させた上記以外の当事者の一人が、現社民党党首・福島瑞穂氏である。

池田信夫氏は自身のブログの記事(2012年8月17日付)「慰安婦問題の『主犯』は福島瑞穂弁護士」において、福島氏ら、いわゆる「人権派弁護士」の悪行を糾弾している。以下、少し長くなるが引用させていただく。


「慰安婦問題の特異性は、日本人が創作した話だということだ。ふつう『私が犯罪者だ』と嘘をつく人はいないが、奇妙なことに戦争についてはそういう『詐話師』がいる。この問題の発端となった吉田清治がその最たるもので、彼の『私の戦争犯罪』には、済州島で『慰安婦狩り』をした様子が詳細に書かれているが、なんとすべて嘘なのだ。本人ものちに『フィクションだ』と認めた。

ところが吉田の話に目をつけて日本政府を相手に訴訟を起こそうとしたのが、福島瑞穂氏や高木健一氏などの弁護士で、彼らは韓国に渡って原告になる元慰安婦を募集した。そこで見つけたのが金学順で、彼女はNHKにも出演して『親に売られてキーセンになり、義父に連れられて日本軍の慰安所に行った』と証言した。この話をNHKに売り込んできたのが福島氏で、彼女はスタジオに立ち会って金にせりふを教えていた。目的は、軍票(敗戦で無効になった)で支払われた給与の賠償だった。

しかし朝日新聞の植村記者がこれを(吉田のストーリーにそって)『女子挺身隊として強制連行された』と誤って報じたため、福島氏らは訴状を『軍に連行された』と書き換えた(だから彼女は『強制連行』が嘘であることを知っているはずだ)。その原告団長は植村記者の義母だったが、のちに裁判費用を詐取したとして逮捕され、行方をくらました。

要するに戦争をネタにもうけようとたくらんだ旧軍人が『軍の性奴隷』という猟奇的な話をでっち上げ、それを政治的に利用しようとした日本の弁護士が韓国人をけしかけ、朝日新聞がそれに乗せられたという構図だ。したがって主犯は福島氏で、朝日は問題を拡大した共犯である。

この騒動で福島氏は『人権派弁護士』としてマスコミにデビューし、国会議員にもなったが、彼女のおかげで日韓関係はめちゃくちゃになった。今回の慰安婦騒動に彼女が沈黙を守っているのは、ここまで嘘がばれてしまうと取り繕いようがないからだろう。朝日新聞とともに彼女にも説明責任がある。国会で説明すべきだ」。


池田氏の主張は、従軍慰安婦「問題」を少しでも勉強している人間にとっては周知の事実であり、この事実は一人でも多くの日本人、とりわけ無党派層の有権者の方々には是非知っておいてもらいたい事柄だ。

もし公党の党首たる福島氏に一切やましいところがなく、ある程度影響力を持つ評論家である池田氏から、「従軍慰安婦の主犯」とまで名指しで批判されたのであれば、法的措置を含め、何らかの反論を行うのが当然だろう。しかし、福島氏は黙して語らず。これだけをもってしても、彼女はこの件について深入りしたくないのだろう、と考えるのが常識的な判断であると思われる。

また、池田氏の論説からは、朝日新聞のジャーナリズムとしての異常性が浮かび上がる。というのも、記者自身が利害関係者たる事柄の取材を行わせないということは、少なくとも「真っ当な」ジャーナリズムとしての常識である。ところが植村隆記者の義母は、金学順氏らが日本政府を相手とした慰安婦訴訟の原告団長だった。そのような立場にある植村記者がこの件に関して取材を行うことは、ジャーナリズムの倫理としてあり得ないことなのだ。

福島氏の「売名行為」、そして朝日が植村記者による「偏向報道」を許したことにより、何の証拠もない従軍慰安婦が国際問題化したことは、池田氏の指摘通りである。そういう意味では、池田氏による「主犯は福島氏で、朝日は問題を拡大した共犯である」という主張は、まさに正鵠を射たものであるといえよう。

本ブログの前2回の記事、「「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 1 ‐橋下「騒動」を検証‐」、「「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 2 ‐「捏造」朝日と「反日」宏池会‐」で議論したように、この「問題」は、少なくとも現在確認できる証拠のみに基づいて言えば、全くの「虚偽」としか考えられない。元従軍慰安婦と称している方々は、「私たちの証言こそが証拠である」と主張しているようだが、通常の裁判等において、他の証拠が一切ない中で、証言だけが唯一の証拠である場合、十分な立証がなされたとは判断されない。そうでなければ、「言った者勝ち」になってしまうからだ。

従軍慰安婦「問題」は、吉田清治氏という共産党員が「創造」し、それに朝日新聞が火をつけ、さらにそれに乗っかるかたちで韓国人「被害者」が出現し、その被害者を福島氏ら「人権派弁護士」がサポートするかたちで、全く火のないところに煙をたて、それを大火災にしてしまったというのが実態だ。しかも日本政府は、そうした荒唐無稽な事柄について韓国から責め立てられ、十分な調査を行うこともなく「河野談話」によって認めてしまった。それに関わった宮澤喜一氏、河野洋平氏ら、日本の国益を考えない政治家の罪も大きいということだ。

河野談話によって、世界各国は日本が従軍慰安婦の存在を認め、日本軍が強制連行したことを謝罪したのだと考えている。前回議論したように、政府高官はそれを意図していなかったとしても(宮澤氏、河野氏の真意は分からないが)、談話の中身はそう理解されて当然のものだといえる。それによって、アメリカ始め、世界各国(あるいはその国の地方議会等)から、日本は言われなき非難を受けている。

こうした現状を変えるために、まずは、日本軍が慰安婦を強制連行したのかどうか、つまり、橋下大阪市長が主張したように、戦時にはどの国も保持していた「慰安婦」を超えるような悪行を日本軍が行っていたのかどうか、明確にする必要がある。

そのための一番の近道は、国会に「従軍慰安婦調査特別委員会」を設け、強制連行を証言した元日本軍人、朝日新聞関係者、福島瑞穂氏など慰安婦側の弁護士、そして河野洋平氏などの政治家を証人喚問し、偽証を許さないかたちで徹底的に事実を追及することだ。

参考人招致程度のことでは、こうした連中に「真実」を語らせることは不可能なので、偽証罪を伴う証人喚問が必須だ。

日本がこうした動きを見せれば、必ずアメリカが圧力をかけてくるだろう。というのも、アメリカにとっては、従軍慰安婦だろうが南京大虐殺だろうが、その真偽など問題ではない。日本がアメリカによって植え付けられた自虐史観を乗り越え、戦中の真実に迫ろうとすること自体が問題なのだ。

日本人は朝鮮人とは違い、無辜の民が犠牲となった原爆投下についても、東京大空襲についてもアメリカに「謝罪と賠償」を求めるようなことはしてきていない。そうした主張は終戦直後GHQによって封じられ、今日に至っている。よって、その「おとなしい」日本人が、歴史認識に目覚め、アメリカによる非道な行為についても批判するようになることは、彼らにとってはあってはならないことだ。

アメリカは広島・長崎に異なる種類の原爆を投下しており、その威力を「実験」したのは間違いない。同じ白人に原爆を使うなど彼らにとってはあり得ない選択だったのだろうが、黄色の日本人は彼らにとっては「猿」程度の存在であったので、恰好の「モルモット」だったのだろう。

その人種差別思想は、戦中のアメリカ国内における、日系人に対する強制収容所への収容等による扱いが、同じくアメリカと戦ったドイツ系・イタリア系移民に比べ、不当に差別的であったことを考えれば自明だろう(Wikipedia参照)。

アメリカの現政権が本当に日本による、いわば歴史の「再定義」を、アメリカの国益を損なうものだと主張しているのだとすれば、それは、上述のような「不都合な真実」を蒸し返されたくないという考えからだろう(彼らにとってはアメリカこそが正義なのだから)。 特アのみならず、そのようなアメリカの存在を考えれば、上記「特別委員会」によって、日本が「造られた歴史」の呪縛から逃れようとすることに対しては、内外から相当な批判を受けることが容易に予測できる。

上述、池田信夫氏も自身のツイッターで、「私は河野談話を修正したほうがいいと思うが、それ自体がまた大事件になって、事態が悪化するリスクも大きい。安倍政権は修正をあきらめ、メア氏(ケヴィン・メア )は『意味がない』といい、田原(総一朗)さんも『無理だ』という。視聴者の87%は『見直すべきだ』というのだが…」とツイートしている。これは6月2日のニコニコチャンネルでの「言論アリーナ」を受けての、池田氏のコメントである(池田信夫blog「朝日新聞がまた『炎上』させる慰安婦問題、及び以下の映像参照)。



池田氏の主張は、日本人の多くは河野談話は虚偽であると認識しており、それは見直されて然るべきと考えている。しかし、20年も前に出され、しかも日本が従軍慰安婦の強制連行の事実を認めたと考えられる同談話を政府が撤回しなかったため、海外では韓国ロビーの影響でほぼ「事実」と認定されているので、それを修正することは相当なリスクを伴うということだ。僕も同じ認識だ。

しかし、遅きに失しているし、相当の軋轢が予想されるとはいえ、今やらなければ、日本の「無実の罪」は永遠に消えない「歴史的事実」となってしまうだろう。なにせ、韓国は大統領が「千年日本を恨む」と言っているのだから。

そのような状況にあっても、日本の名誉を取り戻そうとする動きも存在する。例えば、「新しい歴史教科書をつくる会」による、「『河野談話』撤廃を求める署名のお願い」という署名活動も行われている。そして何より、上記「言論アリーナ」では、池田氏も指摘している通り視聴者の9割近くが、河野談話を見直すべきだとしている(左翼の連中は、ネット上の番組を観る「輩」など「ネトウヨ」なので参考にならないと主張するのだろうが)。

河野談話の見直しに関しては上述のような反発が予想されるため、「戦後レジームからの脱却」を掲げる安倍内閣でさえ乗り気ではない。リスクの大きさを考えれば、それも致し方ないことなのかもしれない。

しかし、明らかな「冤罪」である従軍慰安婦「問題」は、日本という国の名誉の問題なのだ。諸外国、とりわけ同盟国・アメリカが怖いからといって、日本を守るために戦った先人に汚名を着せたままでいて、この国がこれから先、主権国家足り得るだろうか。

勝者のみが歴史を紡ぐのが世の習いとはいえ、敗者が敢えて異論を唱えなければ、歴史は間違ったまま紡ぎ続けられてしまう。先人の名誉を守るため、そして将来の日本人がいわれなき重荷を背負って生きることを回避するため、我々の世代こそが向う傷を恐れず、ありのままの歴史的事実を「証明」しなければならない。

そのためには、繰り返しになるが、日本を貶めた連中を証人喚問し、その結果得られた事実を世界に発信する必要がある。それに対して世界がどう反応するのかは、また別の問題だ。

それは短期的には、日本の国際関係をぎくしゃくさせるものであるかもしれない。しかし長期的にみれば、必ず日本のためになると信じている。僕らの世代は間もなく死に絶えるとしても、日本という、この美しい国は永続していくのだから。
(了)

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「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 1 ‐橋下「騒動」を検証‐
「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 2 ‐「捏造」朝日と「反日」宏池会‐


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2013年6月 5日 (水)

「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 2 ‐「捏造」朝日と「反日」宏池会‐

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いわゆる従軍慰安婦「問題」の起源をたどると、元軍人・吉田清治氏、朝日新聞、国益を考えない政治家、そしてその他反日勢力に行き着く。今回は歴史を歪めた吉田氏、朝日、政治家について論じたい。

「慰安婦」が存在したことは間違いない。ただそれは、前回の本ブログの記事「「河野談話」を乗り越えて 従軍慰安婦「問題」の根本的解決に向けて Part 1 ‐橋下「騒動」を検証‐」で論じたように、橋下徹大阪市長の主張通り、どの時代のどの戦争においても軍隊が「活用」したものであり、決して日本特有の問題ではない。

ではなぜそれが日本のみが世界中から非難される問題となったのか。発端は、吉田清治氏の著書、『朝鮮人慰安婦と日本人 -- 元下関労報動員部長の手記』(1977年刊行)、『私の戦争犯罪 -- 朝鮮人強制連行』(1983年刊行)である。特に後者において吉田氏は、1943年に軍から朝鮮人女子挺身隊動員を命令され、済州島で日本軍人らを引率し、若い未婚女性や赤ん坊を抱いた母親を駆り立ててあたりかまわずトラックで連行し、レイプした。あるいは、朝鮮人女性を205人強制連行し、従軍慰安婦ににしたとしている。

しかしこの主張に関しては、韓国側から虚偽であったと反論されている。「慰安婦狩り」の舞台とされた済州島からは反論が多数出た。現地紙の『済州新聞』(1989年8月14日付)は、済州島の住民が「慰安婦狩り」は事実無根であり、吉田氏の主張は虚偽である旨を語っていると報じた。例えば、当時85歳の島民は「250余の家しかないこの村で 、15人も徴用したとすれば大事件であるが 、当時はそんな事実はなかった」と語り、郷土史家の金奉玉氏も「1983年に日本語版が出てから何年かの間追跡調査した結果、事実でないことを発見した。この本は日本人の悪徳ぶりを示す軽薄な商魂の産物と思われる」と憤慨した。

吉田氏が何故、日本を貶めるための著作を発表したのかに関しては、金銭目当てだったのかもしれないし、同氏が共産党員であったため、戦中の日本を必要以上に「悪」としたかったのかもしれない。それは定かではないが、吉田氏の「捏造」については、上述『済州新聞』の報道によって決着していた。

ところが、そうした決着済みの共産党員による「反日工作」に再点火したのが、朝日新聞による報道だった。以下、朝日による反日記事を記す。

同紙は1991年5月22日付の大阪朝刊で、「従軍慰安婦 加害者の証言」として、吉田氏の証言を掲載した。同氏は以下のような証言を行っている。

「私が今日、最も恥ずべきこと、心を痛めている問題の一つは、従軍慰安婦を950人強制連行したことです。従軍慰安婦という制度は、日本軍がアジア各地、太平洋諸島へ侵略したとき、その駐留軍・海軍軍人たちの性的な相手をさせるための女性であったのです。占領直後の前線に、売春組織を陸・海軍の指揮のもの、直接の援助のもとに設置したというのは世界史上でないそうです。もちろん、あってはなりません。これが太平洋戦争における日本陸・海軍の最も大きな罪だと私は信じております。

この婦女子の韓国・朝鮮人の従軍慰安婦の徴用のやり方は、私たち実行者が10人か15人、山口県から朝鮮半島に出張し、その道の警察部を中心にして総督府の警察官50人から100人を動員します。…殴る蹴るの暴行によってトラックに詰め込め、村中がパニックになっている中を、1つの村から3人、5人、あるいは10人と連行していきます。…(連行した女性を)釜山から…下関へ運んだのです。下関では74部隊といって陸軍の部隊がありましたが、そこの営庭で前線から受け取りにきている軍属に渡します。そしてご用船で中国、あるいは南方へ送るという業務を3年間やっておりました」(山際澄夫著『これでも朝日新聞を読みますか』)。

また、1991年8月11日付の記事でも、「元朝鮮人従軍慰安婦 戦後半世紀重い口開く」(植村隆韓国特派員・ソウル発)と題し、元慰安婦の金学順氏(当時名前は伏せられていた)について「女子挺身隊の名で戦場に連行され」たと報道する(植村氏、金氏に関しては次稿で詳述する)。

そして、現在の従軍慰安婦に関する日本の不名誉の元凶となったのが、1992年1月11日付朝日新聞の報道。同紙は一面で、「慰安所、軍関与示す資料」、「部隊に設置指示 募集含め統制・監督」、「政府見解揺らぐ」という見出しで、中央大学教授・吉見義明氏が慰安婦募集に関する日本軍の関与についての新資料を、防衛庁防衛研究所図書館で「陸支密大日記」などの資料の中から発見したことを伝えた。同氏はこの文書について、「軍の関与は明白であり謝罪と補償を」と述べている(Wikipedia参照)。また朝日は、従軍慰安婦の解説として「約八割が朝鮮人女性」、「主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した。その人数は八万とも二十万ともいわれる」とも報じた。つまり日本軍により、膨大な数の朝鮮人女性が強制連行されたと主張したわけだ。
※歴者学者の秦郁彦氏によれば、朝日が報じた「新」資料は研究者の間では周知のものであったという。

吉見氏が「発見」した「新」資料「陸支密大日記 昭和13年第10号 陸支密第745号」は、読んでみれば明らかなのだが、軍の強制連行を示したものではなく、むしろ悪徳業者に対して厳しく対処せよという内容となっている。

西岡力氏は本文書について、「日本国内で慰安婦を斡旋する業者が人さらい紛いのことをしているが、それは『軍の威信』に関わるから業者の選定を厳しくせよ、という『業者を取り締まる』内容です。軍は関与しているのですが、それは業者が軍の名前を騙って『強制連行』するな、といういわばよい方向に関与していたのです」と述べているが、普通に文書を読む限り、同氏の見解が妥当だと思われる(いわゆる従軍慰安婦について歴史の真実から再考するサイト)。

朝日による従軍慰安婦報道に関しては、吉見氏の「発見」は上述の通りであるし、吉田氏の証言は(既に済州新聞で否定されてはいたが)、秦郁彦氏らの現地調査で全くのでたらめであったことが証明されたが、朝日新聞は今日に至るまで、その誤報に関して明確な訂正、謝罪を行っていない。

今年5月14日付読売新聞は、「従軍慰安婦問題は1992年1月に朝日新聞が『日本軍が慰安所の設置や、 従軍慰安婦の募集を監督、統制していた』と報じたことが発端となり、日韓間の外交問題に発展した。記事中には『主として朝鮮人女性を挺身隊の名で強制連行した』などと、戦時勤労動員制度の『女子挺身隊』を “慰安婦狩り”と誤って報じた部分もあり、強制連行の有無が最大の争点となった」とし明確に朝日を批判している。しかし、何故か朝日はそれに対しての反論を行っていない。

朝日の反日報道は本件に限らず、戦後一貫して行われたものであるので、政府は事実関係を可能な限り綿密に調査し、その結果を公表すればいいだけの話であった。それが事実であろうとも捏造であろうとも。事実を隠蔽することが歴史に対する一番の罪であり、調査の結果、日本軍の「悪行」があったのであれば、それは日本人として厳粛に受け止めなければならない。ところが、当時の宮澤内閣による、政治的にも論理的にも意味不明な対応により、日本は世界から非難されることとなってしまった。

上述の朝日による記事等は、宮澤喜一首相の訪韓5日前に掲載されたものであったため、早期の事態収拾を焦った宮澤内閣は、事実を確認もせず、1月13日、加藤紘一官房長官が「お詫びと反省」の談話を発表。翌1月14日、宮澤首相は「軍の関与を認め、おわびしたい」という「失言」までしている。また、韓国を訪問した同氏は盧泰愚大統領に8回も謝ることとなった。この訪韓で宮澤首相は「真相究明を約束する」と語っているのだが、真相を究明する前に、何故、首相と官房長官とが雁首そろえて「お詫び」したのか。常人には全く理解できない。こうした媚韓の姿勢が、1993年、日本人にとっては屈辱的な「河野談話」を生み出すこととなる。

「河野談話」は日本の歴史上、最悪の「作文」であり、河野洋平氏は、敢えて大袈裟に言わせてもらえば、「国家反逆罪」にも値するほどの大罪を犯したと考える。

同談話は調査の結果、「慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった」としている。当時の記者会見で河野氏は、「今回の調査結果は、強制連行の事実があったという認識でよろしいわ けでしょうか」との質問に対し、「そういう事実があったと。結構です」 と明言している。

しかし、「強制連行については公文書は見つからずそれで聞きとり調査をしたと理解してい ますが、客観的資料は見つかったのですか」との問いに対しては、「強制には、物理的な強制もあるし、精神的な強制もあるんです。精神的な強制 は官憲側の記憶に残るというものではない。しかし関係者、被害者の証言、それ から加害者側の話を聞いております。いずれにしても、ご本人の意思に反した事例が数多くあるのは、はっきりしておりますから」 という、極めて「不明瞭」な返答をしている。

櫻井よしこ氏は、当時の主要な関係者に取材を申し込み、「取材を一旦受けながら、直前に断ってきた宮澤首相を除き、河野氏、河野氏の前に官房長官を務めた加藤紘一氏、官房副長官の石原信雄氏、外務審議室長の谷野作太郎氏、武藤嘉文外相、駐日韓国大使の孔魯明氏、駐韓日本大使の後藤利雄氏」らから話を聞いた。そして、「その結果確認出来たのは、河野談話には根拠となる事実は、全く、存在せず、日韓間の交渉の中で醸成されていったある種の期待感と河野氏自身の歴史観が色濃 く反映されていたことだった。氏の歴史観、戦争に関する極めて、否定的な想いは、宮澤氏のそれと多くの共通項を有してもいた」という(いわゆる従軍慰安婦について歴史の真実から再考するサイト)。

また、産経新聞論説委員・阿比留瑠比氏による5月30日付の論説は、河野談話は一見「強制連行」を認めたように読めるが、事務方トップとして談話作成にかかわった石原信雄元官房副長官は「政府の意を体して、政府の指揮命令下に強制したと認めたわけじゃない」と断言している。一方で、談話が海外で「日本政府が公式に強制連行を認めたもの」と受け止められたのも事実であり非常に分かりにくい、としている。

それでは何故、「河野談話はそんな奇妙な書きぶりになったのか。結論から言えば当時の宮沢喜一内閣は、韓国を満足させるため『強制』を認めたかったのである」。「ところが、国内外、関係省庁と『八方手を尽くして調べた』(石原氏)にもかかわらず、その証拠は出てこない。そこでやむなく『強制性』を強くにじませたというのが真相だろう。石原氏をはじめ関係者の証言と談話の作成過程をたどると、そうしたゆがんだ実態が浮かび上がってくる」と同氏は指摘する。

つまり、談話発表の経緯は、まず韓国側から(日本軍による)強制性を認めることが問題解決に絶対必要との意向が示された。宮澤内閣は強制性について明確な判断をすることが必要だという政治的判断を行い、韓国の考え方に沿って強制性を認める発表をしたと考えられる。

日本政府が実施した調査では、「日本軍が慰安婦の強制連行を行なっていた」とする書類資料は発見されなかったが、河野洋平氏は「組織として強制連行を行っていても、無理にでも連れてこいという命令書や無理に連れてきましたという報告書は作成されることはないだろう」という見方を示し、強制を認めた根拠として「募集・移送・管理等の過程全体をみてであり、自由行動の制限があったこと」を挙げている。また、同時におこなわれた韓国人元慰安婦への聞き取り調査では、慰安婦の証言を記録するのみで、事実関係の検証は行われなかったという((Wikipedia参照)。

主権国家が海外から罪を問われている事案において、このようないい加減な調査結果をもとに、「罪状」を認めることがあっていいのだろうか。しかも客観的な証拠は全く存在しない。これでは誰が見ても、いかに河野談話がいい加減なものであり、始めに結論ありきの「偽証」だったのか理解できるだろう。

こうした「惨状」を招いた原因の一つは、人が善く、曖昧さを好む日本人の民族性。それは日本人の長所でもあるのだが、国際社会はそれほど甘くない。宮澤内閣は、ある程度韓国の顔を立てれば、それで問題は片付くと考えていたのかもしれない。しかし、特ア各国は日本の「配慮」など一切通じる相手ではなく、むしろ、一歩譲れば、二歩・三歩と譲歩を迫ってくる。現在の日本国民はそのことを理解しつつあるが、当時は朝日に代表される反日メディアの影響もあり、国民に十分な情報が与えられなかったのだろう。その結果、政治家がこの国を貶めた。ゆすり屋に一度お金を渡したら骨の髄までしゃぶられる。日本と特アの関係の歴史を、そのように表現しても間違いではないだろう。

二つ目は、大局的に国際情勢を見ることができず、将来の日本を考える知恵すらなかった愚かな政治家の存在。自虐史観にまみれた政治家たちが、日韓関係を平穏な状態にしておきたいという目先の利益(対韓関係が日本にとって「利益」と言えるのかすら疑問だが)と自己保身のために取った行動が、今なお国際社会における日本にとっての足枷となっている。

これは、以前本ブログの記事「自虐史観教育から子供たちを護れ!Part 2 ‐「メディアが作った」諸悪の根源『近隣諸国条項』‐」で論じた、「『歴史教科書』に関する宮澤内閣官房長官談話」と全く同じ構図だ。

これら日本の国益を大きく毀損した政治判断に関わった政治家たち。従軍慰安婦「問題」における宮澤首相、加藤・河野両官房長官。そして歴史教科書「問題」での鈴木善幸首相と宮澤官房長官。彼らは全て宏池会(現岸田派)の重鎮だ。宏池会は池田勇人元首相が創設した、保守本流の伝統ある自民党の派閥だった。しかし、以前も指摘したが官僚出身者が多く、「寝業」とは無縁な「公家集団」。リベラルを自任してはいるが、上述のような歴史を振り返れば、何のことはない「準反日」連中の集まりだということを理解していただけるだろう。

朝日などの左翼メディアや、共産党、社民党などが反日勢力であることは論を俟たないが、歴史教科書、従軍慰安婦、加えて靖国神社を国際問題化させてきたのが歴代自民党内閣だったことを考えれば、自民党にも「自称リベラル」始め、「特ア至上主義」の政治家がごろごろしていることを忘れてはならない。

最近の話題では、訪中した野中広務元官房長官が6月3日、「日中国交正常化(1972年9月)の直後、正常化交渉にあたった当時の田中角栄首相から、沖縄県・尖閣諸島問題の棚上げを日中双方が確認したと聞いた」、と発言したようだ(6月4日付毎日新聞参照)。同氏の経歴を見れば明らかだが、相変わらず反日活動に余念がないようだ。

同行した超党派の議員団のメンバーは他に、自民党の古賀誠元幹事長、山本幸三衆院議員(いずれも宏池会)、民主党の仙谷由人元官房長官、公明党の白浜一良参院議員会長、共産党の穀田恵二国対委員長。このメンツを見れば、先に中国を訪問した鳩山由紀夫元首相、河野洋平氏と同類であることは明らかだろう。

そうした「輩」の一人、古賀氏を6月4日付天声人語で朝日は礼賛する。曰く、同氏が共産党の機関紙『しんぶん赤旗』日曜版(2日付)のインタビューで、憲法96条改正について「私は認めることはできません。絶対にやるべきではない」と言い切ったことが素晴らしいのだそうだ。

「議員を退いた身とはいえ、自民党の重鎮が宿敵というべき共産党の求めに応じるとは驚きだ。古賀氏は幼いころ、父を戦争で失った。『戦争を知る世代の政治家の責任だと思ったから』だと話している。やはり戦争を知るOB、野中広務・元幹事長も『要件から変えるのは姑息(こそく)なやり方だ』と批判している。…穏健な保守の構えを貫く。よき伝統を引き継ぐ後輩は今の自民党にはいないのか」と、反日自民党員をだしに、安倍内閣批判を展開している。

野中氏、古賀氏が訪中しているタイミングでのこの主張。本ブログで何度も議論してきたように、朝日と反日勢力との連携は濃密であり、いまだ健在であることを象徴している。

話が逸れてしまい大変申し訳ない。ただ、今日一番の話題だったサッカーに例えて言えば、朝日と特ア、そして国内の反日勢力が互いにパスを繰り返し、日本の国益というゴールを脅かそうとしている事実は、従軍慰安婦問題始め、あらゆる歴史認識「問題」に関しての肝なので、その点ご理解いただきたい。

本稿が冗長となってしまったため、今回は結論までたどり着くことができなかった。議論が散漫になってしまっているが、次稿で何とかまとめたいと考えているので、今しばらくお付き合いいただければありがたい。

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