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2013年6月18日 (火)

余禄 「安倍首相VS細野民主党幹事長」その後 ‐反日朝日が田中均を擁護‐

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(田中均氏・写真は朝日新聞デジタルより)

本ブログの前回の記事「安倍首相VS細野民主党幹事長 ‐最高権力者に表現の自由はないのか‐」で、毎日新聞に掲載された田中均氏による安倍内閣批判に安倍首相が反論し、それを民主党幹事長・細野氏が批判したことを紹介させていただいた。

細野氏は、安倍首相の反論にメディアが反応しないことに対して、「今のところ、最高権力者のこのような発信に対して厳しい報道はでてきていません。報道機関は、高支持率を誇る安倍総理の発言を正面から批判することを恐れているのかもしれません。意識的にか無意識かは別にして」と不満を述べていた。

その不満を解消するかのように、「安倍叩きは社是」である朝日新聞が本日6月18日付の社説で、「首相の反論‐異論受けとめる度量を」と題する安倍首相批判を展開した。内容は、見事なまでの細野氏支持、田中氏擁護。朝日新聞デジタルでは社説は翌日には読めなくなるので、以下全文を記す。

「彼に外交を語る資格はありません」

安倍首相がフェイスブック(FB)に書き込んだ一言が波紋を広げている。

「彼」とは、日本人拉致問題で北朝鮮との交渉経験をもつ田中均元外務審議官のことだ。

元外交官とはいえ、いまは民間人である。一国の首相がネットで個人攻撃を繰り広げる光景は、尋常ではない。

発端は毎日新聞に掲載された田中氏のインタビューだ。

田中氏は、河野談話や村山談話をめぐる首相の発言や、閣僚の靖国参拝、橋下徹・大阪市長の慰安婦発言などを挙げ、「(日本は海外から)右傾化が進んでいると思われ出している」と懸念を示した。

首相のFBは、これへの反論として書かれたものだ。ただし、右傾化問題には触れず、02年にあった田中氏との意見対立を紹介している。

北朝鮮から一時帰国した拉致被害者5人を送り返すかどうかをめぐり、当時、外務省で交渉当事者だった田中氏は「返すべきだ」と主張した。一方、官房副長官だった安倍氏は「日本に残すべきだ」と判断。結局、小泉首相の決断で日本にとどまることになった――。

安倍氏は「外交官として決定的判断ミス」と指摘し、田中氏に外交を語る資格はない、と決めつけた。

だが、この批判は筋違いだ。

田中氏は外交官として、政治家が決断するための選択肢を示したのであり、小泉首相が下した最終的な結論にはもちろん従っている。

そもそも、この問題と田中氏が指摘した右傾化問題とどういう関係があるのか。

安倍政権になってから日本を見る海外の目が厳しくなったという指摘は、首相にとって愉快ではなかろう。

だが、首相がこんな態度をとれば、耳に痛い意見は届きにくくなる。それで正しい判断ができるだろうか。

外交に限らず、政策論議は自由闊達(かったつ)に行う。民間の意見にも耳を傾ける。その上で最終決断は首相が下す。それこそ、民主主義国の強さだろう。

首相は5月の国会答弁で、特定の集団をおとしめたり暴力や差別をあおったりするヘイトスピーチ(憎悪表現)が増えていることについて「どんなときも礼儀正しく、寛容で謙虚でなければならないと考えるのが日本人だ」と語った。

異論も取り込んで政策の厚みを増していく。首相にはそんな度量がほしい

実に朝日らしい、安倍首相を叩くためなら論理もへったくれもない、素晴らしい「作品」だ。

突っ込みどころ満載なのだが取りあえず…。朝日は安倍首相のfb上でのコメントが「波紋を広げている」と言うが、波紋が広がっているのは反日メディアと細野氏などの反日勢力の間においてのみだろう(と言うか彼らが広めている)。また、田中氏は「元外交官とはいえ、いまは民間人である」と、細野氏と同様の主張をしているが、上述の記事で議論させていただいたように、彼は単なる一民間人ではない。それをあたかも弱者を首相が攻撃しているような論調で非難することこそ「尋常ではない」。

また、「右傾化問題には触れず」としているが、おそらく安倍首相が田中氏を批判した最大の理由は、田中氏が行った「異常な」北朝鮮との交渉を容認できず、そのような人物が安倍内閣による北朝鮮交渉を批判することが許しがたかったからだろう。つまり、首相が論点としたのは右傾化云々ということではなく、当時の北朝鮮交渉における田中氏の外交官としての適格性の問題であり、そのような人物が外交を論評するに値するのかという問題提起だ。しかも相手は言論活動を行っている、いわゆる「識者」なのだから、「個人攻撃」などいう表現は朝日お得意の「誇張」に過ぎない。

更に深読みすれば、「一国の首相がネットで個人攻撃」したことを非難しているが、首相による主張が大手メディアのインタビューなどによってなされたのであれば許容するけれども、「ネットごときで」で行うことは許されないという、相変わらず時流をわきまえない傲慢さが感じられる。

しかもこの社説は、上述のように首相が右傾化問題に触れていないことを非難しておきながら、「そもそも、この問題(拉致被害者をめぐる首相と田中氏との意見の相違)と田中氏が指摘した右傾化問題とどういう関係があるのか」と、あたかも首相が田中氏の指摘した右傾化の問題に対して、的外れな反論をしているかのように論ずる支離滅裂ぶり。首相は田中氏による右傾化批判については特にコメントしていない。「関係があるのか」も何も、朝日自身が指摘している通り、そもそも触れていないのだ。

記者の書く文章に名文がないのは当然としても、この社説を書いた論説委員は、日本語で首尾一貫した文章を書けるように勉強し直した方がいい。朝日なので日本語が母国語ではない人物が書いた可能性も否定できないが…。

話は若干逸れるが、外務省アジア大洋州局長として北朝鮮との交渉に取り組んだ田中氏の何が問題だったのか、簡潔に触れておきたい。

非常に分かりやすい指摘が、外交ジャーナリスト・手嶋龍一氏の手嶋龍一オフィシャルサイトに掲載されているので詳細はそちらをご参照いただきたいが、以下、概要を記す。手嶋氏は、田中氏と北朝鮮側の「ミスターX」との交渉を次のように批判している。

「北朝鮮は、田中均の性癖や交渉手法はもとより政界の人脈も知り抜いていた。一方の日本側は、北の独裁者が差し向けてきたこの人物について何のインテリジェンスも持ち合わせてはいなかった。英米の情報機関にも照会していない。この交渉チャネルをごく限られた者以外に知られまいとしたからだ」。

田中氏とミスターX両氏による交渉は、北京、大連などで30回以上に及ぶのだが、手嶋氏は「外交にあっては折衝の相手をひとりで抱え込んではならない。どちらかが人事異動で交代してしまえば、交渉チャネルはそこで途絶えてしまうからだ。加えて、第二の交渉チャネルも周到に用意しておくべきだろう。交渉の縦深性を保って相手に操られる危険を避けるためである。『ミスターX』との折衝は、こうした外交の常道をいずれも踏み外したものだった」とする。

また、両者の交渉の記録が、機密保持のためとして政府部内には一切残されていないことについて、「国家の命運を左右するこれほど重要な交渉の記録をわれわれは絶えていちども眼にしたことがない。それゆえ、今次の日朝交渉は、多くの問題を孕みながらも、いったい何が起こったのか、それを検証する手立てすらないのが実情だ。それゆえに、交渉当事者の恣意的な説明がいまもまかり通っている」という、平壌宣言に関わった外務省条約局の担当官の発言を紹介している。

その上で同氏は、「外交は公電となって初めて歴史に刻まれていく。たしかに公電にできないほど機微に触れる情報もある。だが志のある外交官なら、交渉の記録だけは残しておく。それは外交を国民から委ねられた者の責務なのである。それらの機密文書は三十年の後、機密の封印が解かれて史家の手に移り、歴史として記述される。そうして外交は歴史の公正な裁きを受けることとなる」とし、田中氏による交渉の異常性を指摘している。

つまり「秘密交渉」という名のもとに、どのようなやり取りがあったのか、正確には誰も知り得ない中で田中氏は北朝鮮に取り込まれ、その意向に沿って日本の国益に適わない外交を行おうとした。安倍首相はその経緯を理解しているので、そのような人物が外交を、とりわけ拉致問題を訳知り顔で論ずることが許せなかったのだろう。

朝日も田中氏と同類であることは間違いない。

2002年9月17日の小泉訪朝によって、拉致被害者8名が死亡したとの情報を受け、現在の朝日新聞社社長・木村伊量氏(当時政治部長)は、翌18日の朝刊一面で「痛ましい歴史、直視して 日朝首脳会談」と題して以下のような論説を行った(日本財団図書館参照)。

「痛ましい。やりきれない。わが子が、孫が、兄弟姉妹が、どこかで生きてくれていると信じて、拉致被害家族は長くつらい歳月を耐え忍んできた。そのかすかな望みは打ち砕かれた。無残な結末に言葉を失う。…こんな無法者の国と国交を結ぶ必要がどこにあるのか。拉致問題暗転の衝撃と憤りから、釈然としない思いに駆られる人も少なくないだろう。気持ちは理解できる」。

「けれども、冷静さを失っては歴史は後戻りするだけである。いかなる意味でも拉致は正当化できないが、そもそも日朝の不正常な関係は、北朝鮮ができる前、戦前、戦中の35年間にわたる日本による朝鮮半島の植民地支配に始まる。冷戦もあった。北朝鮮との間に残された戦後処理問題を解決し、大局的見地に立って関係を正常化することが、日本の国益にも北東アジアの安定にも資する。どの国も『負の歴史』をおっている。過去の日本がそうなら、北朝鮮もそうである。つらいことだが、歴史を乗り越えるには、それを直視するしかない」。

同氏の主張を分かりやすく解説させていただくと、日本人に同情するふりをしながらも、「全て日本が悪いのだから拉致による被害も当然だ。朝鮮を植民地支配した日本が偉そうに拉致問題を語る資格なんてないのだから、四の五の言わずさっさと国交正常化しろ」といったところか。

拉致問題みたいな「小さな」問題で国交正常化を遅らせるな、という点で、田中氏と朝日の主張は完全に一致している(少なくとも2002年時点においては一致していた)。現在の田中氏と朝日の関係はよく分からないが、田中氏が安倍内閣を批判する限り、利害は一致し続けるだろう。今回の「田中擁護」の社説がそれを物語っている。

さて、安倍首相にfb上で批判された細野氏は、それに対する反論を行っている(BLOGOS参照)。同氏が「自民党には戦争をやりたがっている人がいる」と述べたという首相による批判に対する反論は、事実関係が確認できないので何とも言えない。もし同氏の主張が正しいのであれば、首相もその点は訂正した方がフェアだと考える。

しかしこの御仁、相も変わらず表現の自由を自己流に解釈し、安倍首相による田中氏批判は不当だと主張し続けている。

曰く、「私が懸念するのは表現の自由についてです。幸い田中氏は発信を続けると言われているようですが、今後、発言が委縮する可能性があります。田中氏以外の人も、最高権力者である総理から名指しで反撃を受ける可能性を考えると、総理に対して批判的なことを言いにくい雰囲気ができてしまいます。最高権力者である総理には、表現の自由を実質的に確保するために、広い度量を持って頂きたいと思います」。

相変わらず意味不明だ。「表現の自由の実質的確保」の定義は何か。また、どのような言動によってそれが「実質的」に確保されなくなるのか。同氏の主張に従えば、最高権力者である総理に対しては、メディア等で自由に発言できる田中氏ですら、表現の自由を脅かされる弱者ということになる。そうであるならば、あらゆる政治家に対して一般人は弱者であるのは自明ゆえ、政治家は一般人に批判された場合、一切反論してはならないということなのだろうか。

「雰囲気」、あるいは「実質的」などの曖昧な言葉を使い、安倍首相に対して情緒的な批判を加え、逆に総理の発言を縛ろうとする意図が見え見えだ。そもそも、朝日や毎日の主張を紙面で代弁する田中氏のような「識者」が、総理や閣僚から批判されたからといって「萎縮」するはずがない。

参院選が近づいているので、安倍内閣に何とか絡んで、もう誰も相手にしていない民主党の露出を増やしたいのは分かるが、逆効果でしかない。自民党が大勝するのかどうかはまだ分からないが、民主党が大敗することは確実と言っていいだろう。老婆心ながら、安倍内閣の揚げ足取りをする暇があるのなら、民主党を立て直すための策を考える方が(万一それが可能であればの話だが)幹事長として重要な責務だと思うのだが。

最後に朝日新聞に一言。「異論も取り込んで主張の厚みを増していく。朝日新聞にはそんな度量がほしい」。無理ですよね、分かっています(笑)。

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安倍首相VS細野民主党幹事長 ‐最高権力者に表現の自由はないのか‐

追記(2013年6月19日):本日付産経新聞で、同紙編集委員・阿比留瑠比氏も細野氏、朝日新聞による安倍首相への「個人攻撃」との批判に対して反論していますのでご参照ください(阿比留瑠比の極言御免 )。

追記(2013年6月27日):こちらもご参照ください(だから田中均氏は信じられない:阿比留瑠比の極言御免)。


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