余録・WBC台湾戦を終えて ‐ナイスゲーム!これぞ「スポーツ外交」!‐
(イラストは美香(Mika/Mei Xiang)さんのfbページより)
一昨日の本ブログ「WBC次の対戦国・台湾 ‐北東アジア唯一の「友人」を大切にしよう‐」にて、台湾についての記事を書かせていただいた。
皆さまご存じのように、WBC2次ラウンドの日本・台湾戦は、期待通りの白熱したゲームとなり、最終的には日本が奇跡的な逆転勝ちを収めた。両チームとも好プレーが続出したが、とりわけドラゴンズの井端弘和選手による同点タイムリーには、日本中が熱狂したことだろう。
スポーツ観戦が趣味で、長年様々なスポーツ中継を見たり、その記事を読んだりしてきたが、国際大会において、これほど感動的な試合を見たのは初めてだ。
もちろん、一進一退で息をもつかせぬ試合内容は素晴らしかった。しかしそれ以上に、両国の選手はもちろんサポーターの態度に感銘を受けた。お互いに敬意を払い合い、相手を中傷する横断幕などは一切なく、観衆は皆、純粋に野球を楽しんでいるように思えた。
日本ではツイッター上で、東日本大震災で、台湾が全世界の国と地域の中で最も多額の義援金などを贈ってくれたことに対して、「台湾でも大きな注目が集まる日本‐台湾戦は、台湾の人びとに謝意を伝える絶好の機会」との機運が盛り上がり、感謝の意を伝える横断幕を日本・台湾戦で掲げようという呼びかけがなされた(3月8日付Searchina参照)。
実際に試合会場の東京ドームでは、以下のようなプラカードを掲げる人々が見られた。
一方台湾でも、現地メディアNOWnewsが8日、日本とは友好ムードの中で戦うべきだとする意見が台湾人の間から出たと報じた。記事によれば、日本にいる台湾の野球ファンが「日本のテレビ中継のとき、試合日程表に『チャイニーズタイペイ』ではなく『台湾』と書かれていた」ことを発見したと伝え、台湾がオリンピックなどの国際試合において「台湾」や「中華民国」の名称を使えない状況を紹介し、「どこの局かは分からないが、日本がわれわれにくれた善意は台湾ファンの心を温めた」と紹介したという(3月8日付Searchina参照)。
試合終了後、台湾チームは敗れたにも関わらず、東京ドームを埋め尽くした満員の観衆に頭を下げて謝意を表した(以下の画像参照)。
また、台湾人サポーターの中には、台湾国旗(青天白日満地紅旗)に「日本おめでとう」と書き、日本の勝利を祝福してくれる方もいたようだ(以下の画像参照)。
台湾チーム、そしてそのサポーターの礼儀正しさ、思い遣りに対しては多くの日本人が感動したようだ。ツイッター上で台湾への謝意のツイートを多数見かけた。
僕自身も、上述の前回の記事で「両チームにはフェアなゲームをしてくれることを期待しているし、そうなるだろう。韓国戦とは違い、勝っても負けても不必要に嫌な気分になる心配はない」と書かせていただいたが、想像以上の素晴らしいゲームになり、また日台両国民の親交が深まったことに喜びを覚える。
3月9日付のSearchinaは、「敵だけど友! 日台戦でしか見られない感動の情景=WBC」と題して、「試合では双方は敵同士であったにもかかわらず、日本人は台湾民衆の温かい支援に感銘を覚えて感謝し、台湾を応援するプラカードも掲げていた。敵であり友である関係、こんなシーンはおそらく日本‐台湾戦でしか見られないだろう」という、台湾メディア・TVBSの報道を伝えた。
今回のWBC日本・台湾戦とその後の経緯を見て、改めてスポーツが持つ力を知らされたような気がする。スポーツの国際大会での対戦によって、国同士の関係が悪くなる現実を数多見てきたが、今回のように両国の絆が深まることもあるのだと。これこそ、結果的にではあるが、「スポーツ外交」成功の典型例だと考えられる。
上記のTVBSによる報道のように、これは日本と台湾の間でしか見られない現象なのかもしれない。しかし、他の国々との間でも、野球に限らず、様々なスポーツを通して良好な関係を構築する。そのようなことが可能であれば、スポーツは大きく世界平和に寄与することができるだろう。
理想論に過ぎると批判されるだろうが、あの素晴らしい日本・台湾戦を見た後ゆえ、そのようなことを期待したい気分になる。
さて、日本に敗れた台湾は昨日キューバと対戦した。残念ながら0対14でコールド負けしてしまったが、謝長亨監督は「ベスト8進出という目標を達成でき、全体的には満足している」と話し、選手をねぎらったようだ(3月9日付YOMIURI ONLINE参照)。
これを言うと日本の野球ファンの皆さんから怒られそうだが、僕は台湾戦の前、台湾人の友人たちにこう話していた。「僕は日本人だし、日本も野球も大好きだ。でも、今回は日本が負けてもいいから台湾に優勝してもらいたい。そうすれば、世界中の人たち、少なくとも野球ファンは台湾という国に注目してくれるだろうから」。
中国による「一つの中国論」のため、国連やその関連機関に加盟したくてもできない台湾。現在、台湾を国家として承認している国は、パラグアイ、バチカンなど23カ国に過ぎず、しかも小国ばかりである。
共産党一党独裁の中国とは完全に異なる政治的発展を遂げ、立派な民主主義国として成り立っている台湾。経済的には、近年は中国依存の傾向にあるものの、IT分野を中心に世界的に活躍する企業も多数ある。
そのような台湾がいつの日にか世界から、独立した国家として認められることを強く願っている。仮にそれが認められないとしても、台湾の意に反して中国による併合を許すようなことがあってはならない。多くの台湾人はそれを望んでいないのだから。
今回のWBCでの対戦を通して一層深まった、日本と台湾との絆。日本人がこの絆を大切にし、両国の友好関係が更に発展することを心から祈っている。
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親台派の僕としては、台湾の敗退はとても残念です…。留学によって、台湾人の友人が多数いますので…。
日本と最高のゲームをした彼らのためにも、是非、侍ジャパンには頂点を取って欲しいですね。
投稿: Mich | 2013年3月14日 (木) 22時32分
◇祝決勝R進出決定!
台湾の敗退は、残念ではありますが・・・。
あとは、本場米国での決戦あるのみです!
投稿: Ayakikki | 2013年3月14日 (木) 01時54分