収穫多き首相のモンゴル訪問 ‐「真摯さ」と共に着実に進む「安倍外交」‐
(写真は日テレNEWS24より)
安倍首相は昨日3月30日、モンゴルを訪問し、アルタンホヤグ首相、エルベグドルジ大統領らと会談し本日帰国した。
日米同盟始め、民主党政権が壊滅させた外交を立て直すべく、首相は着実にその歩みを進めている。1月16日から19日までのベトナム・タイ・インドネシアのASEAN3カ国訪問に続き、今回のモンゴル訪問も、現在日本が抱える様々な問題について、解決への道筋をつけるという観点から、非常に実り多きものだったと考えられる。
安倍首相自身も首相官邸fbページで、「モンゴルは、大の『親日国』。今回のモンゴル訪問は、両国の友情をさらに深める旅となりました。モンゴルは、自由や民主主義といった普遍的価値を共有する国であり、戦略的なパートナーです。資源大国モンゴルと、高い技術を持つ日本は、win-winの関係を築けると確信しています。アルタンホヤグ首相主催晩餐会の最後に、モンゴルの方が、『北国の春』を日本語で歌ってくれました。モンゴルの皆さんの温かいおもてなしに、ふと『故郷』に戻ってきたような、そんな安らぎを感じた旅となりました」とし、今回のモンゴル訪問に満足していることが窺える。
今回のモンゴル訪問による成果として、具体的には、資源、安全保障、対北朝鮮が主たるものとして考えられる。
まずは資源外交。安倍首相はアルタンホヤグ首相との会談後の共同会見で、「モンゴルは資源大国で、日本が技術協力するのはwin-winだ」と述べた。日本の技術協力によってモンゴルが経済成長することにより、日本は効率的、かつ安定的な資源確保が期待できる。
この点について読売は3月31日付社説で、「モンゴルは、石炭やレアメタルなど良質で豊富な天然資源に恵まれている。鉱山開発などをテコに11年は年率17%を超える高度経済成長を達成した」。「首脳会談では、モンゴル南部のゴビ砂漠にある世界最大級のタバントルゴイ炭田の共同開発についても意見を交換した。モンゴル側は、『長期にわたり安定的に日本に石炭を供給できるようにしたい』との意向を示した」としている。
繰り返しになるが、モンゴルにとっては更なる資源開発による経済成長、日本にとっては親日国・モンゴルからの安定的な資源供給が見込めることとなる、まさに「win-win」の関係が期待される。
安全保障に関しては、両国首脳は、外交・安全保障分野での外務次官級の対話を開始することで一致し、さらに、アメリカも加えた3カ国の政策対話を行うことでも合意した。
「モンゴルは長く中国の支配を受けソ連の衛星国にも甘んじた。1992年に社会主義を放棄し、市場経済を導入して民主化を進めた。中露双方に距離を置く」国である(産経3月31日付社説参照)。そのモンゴルと日米が安全保障で協力体制を構築することは、中露に対する相当な牽制となり得る。
安倍首相は、上記fbページで語っているように、アジア外交の原則として民主主義など普遍的価値の尊重や自由でオープンな市場経済を掲げている。巨大なマーケット、経済成長を武器に膨張政策を続ける中国に対しては、たとえアメリカといえども、一国で対処することはできない。
そうした観点から、モンゴルを含むアジア諸国が安倍氏が唱える「価値観」で連携し、緩やかながらも「中国包囲網」を敷くことは、その「価値観」を共有しない中国にとっては最も好ましくない状況だろう。
上記、産経の社説は、「日本は、モンゴルに対する最大の援助供与国であり、『第3の隣国』と期待を寄せられている。安倍首相の訪問を機に、交流をさらに活発化させるべきだ」と論じているが、全く同感だ。
特アに囲まれ、北東アジアでは様々な意味で「孤立」する傾向にある日本にとって、親日国であるモンゴルは願ってもない「助っ人」であり、モンゴルの成長は間違いなく日本の国益に繋がると考えられる。日本・モンゴルにアメリカが加わることにより、この地域での新たな安全保障の枠組みを構築することができれば、日本が享受し得るメリットは計り知れない。
最後に、対北朝鮮関係について。モンゴルと北朝鮮とは冷戦時代から長きに亘る友好国であって、今も国交があり、モンゴルは現在も北朝鮮に大使館を持つ。昨年11月に行われた日朝政府間協議も、モンゴルの協力により、その首都・ウランバートルで開催されたほどである。
安倍首相は今回の首脳会談で、「北朝鮮の取っている挑発行動は断じて許すことはできない」と非難し、北朝鮮による日本人拉致問題について「安倍政権で解決する決意だ。支援をお願いしたい」と要請した。それに対してモンゴル側は理解と支持を表明した(3月30日付時事ドットコム参照)。
率直に言って、中国が北朝鮮に対して保持しているほどの影響力をモンゴルが持っているとは考えられない。しかし、手詰まり感が否めない現在の拉致問題を解決するためには、考え得るあらゆるチャネルを活用することが求められる。
拉致問題の解決を目指すことはおろか、それを政治的に利用しようと考えていた民主党政権とは違い、今回の安倍首相の姿勢からは、自身ができるベストを尽くす意気込みが伝わってくる。
かつてないほどの「瀬戸際外交」を展開する現在の北朝鮮には、拉致問題を考えるほどの余裕はないだろう。ただ、一つひとつ小さなことを積み上げ、ライフワークとも言える拉致問題の解決を成し遂げようとする安倍首相の行動には、拉致被害者を多く抱え、誰よりもその解決を強く望む新潟県人である僕は強く胸を打たれる。引き続き、安倍首相の尽力に期待したい。
「友好は手段であって目的ではない。目的は国益である」。これは外交について安倍首相が語った言葉だ。全くそのとおりであり、これこそ政治家だけではなく、外交に携わる人間が忘れてはならない原則だと言えよう。民主党政権は、このような基本的な認識すら持たず、中国、ロシア、韓国などに屈辱的な「外交敗北」を喫した。
安倍政権になったからと言って、すぐには、それらの国々との関係が劇的には改善されないだろう。中国は相変わらず尖閣で挑発行為を継続しているし、韓国大統領は「千年日本を恨む」という、国際関係を一顧だにしないような発言を行っている。ただ、冒頭で述べたASEAN諸国歴訪、そして今回のモンゴル訪問。そうした地道な努力の積み重ねによって、「安倍外交」は着実に前進している。
とは言え、モンゴル、ASEANも含め、日本にシンパシーを感じている国々といえども、経済における中国依存度は極めて高いため、傲慢な自国中心思想に基づく覇権主義的な中国の圧力に抗するのは容易なことではない。
そのような状況において、上述の、民主主義など普遍的価値の尊重や自由でオープンな市場経済を重視し、そうした国々の緩やかな「連合」によって中国封じ込めを図る安倍首相の「価値観外交」は、現在行い得る最善の策であると考える。
度々の引用になるが、上記産経の社説は、「モンゴルの貿易は、輸出の大半が中国向けで、輸入も3割を中国が占める。過度の中国依存からの脱却に日本は貢献できる」としている。
思うに、ひとりモンゴルに限らず、インド、あるいはアフリカ・中南米諸国始め、あらゆる世界の国々に対して日本が貢献できることがある。それは経済力はもちろん、その技術力。加えて、その技術力の根源であり、中国が決して持ち得ない「真摯さ」である。それこそが日本にしかない「強み」であると考える。
『もしドラ』で一躍有名になったピーター・ドラッカーの著作『マネジメント』。その中でドラッカーは、「マネージャーの仕事は、体系的な分析の対象となる。マネージャーにできなければならないことは、そのほとんどが教わらなくとも学ぶことができる。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。才能ではない。真摯さである」と述べている。
日本国民は、他の国の人々はなかなか持ち得ない、その「真摯さ」を文化として保有している。僕は、それこそが、日本が世界のリーダーとしてこの世界を「善」なる方向に導いていく力になると考えている。
そして安倍首相は、そのような日本人を代表するに相応しい「真摯さ」を持ち合わせたリーダーであると確信している。そしてその資質は、ドラッカーの著作が現在も売れ続けていることが証明しているように、世界中から求められているものであろう。
外交に限らず、経済に、福祉に、あるいは日本という国家の再構築に、日々真摯に取り組む安倍晋三という、この国のリーダー。僕らにできることは、一日でも長く、この人物が日本という国を率いてくれるようにサポートすることではないだろうか。そして、彼は決してその期待を裏切らない人間だと、僕は信じている。
目先の事柄に一喜一憂せず、長期的視点で安倍内閣を見守ろう。それは間違いなく、この国を良い方向へと変えてくれる。首相のモンゴル訪問を見て、改めてそんなことを感じた次第である。
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