安倍首相は「改憲」発言ができない? ‐左翼政治家の「異常」な憲法論議‐
(社民党・又市副党首 写真は社民党OfficialWebSiteより)
一昨日、左翼政治家のあまりに「異常」な発言を発見したため、本稿を書くことにした。
既に旧聞に属する話題ではあるが、安倍晋三首相は1月30日の衆院本会議で始まった各党代表質問で、憲法改正について「まずは多くの党派が主張している(憲法改正の発議要件を定めた)96条の改正に取り組む」と述べ、改憲発議要件の緩和から着手する考えを示した(1月31日付毎日jp)。
また、2月1日の参院本会議での代表質問では、「自衛隊は国内では軍隊と呼ばれていないが、国際法上は軍隊として扱われている。このような矛盾を実態に合わせて解消することが必要だ」と述べ、憲法改正への国防軍明記の必要性を示した。同時に、「シビリアンコントロール(文民統制)の鉄則や憲法の平和主義、戦争放棄を変えるつもりはない」ことも強調した(2月1日付YOMIURI ONLINE)。
安倍首相は、所信表明演説、各党代表質問に先立つ1月25日、毎日新聞のインタビューで、憲法改正について自身の考えを表明している。以下抜粋(毎日jp参照)。
−−憲法改正の手順については?
◆96条からいくべきだろうと思いますね。<注=96条は改正手続き規定。現状では両院で3分の2以上の賛成がなければ改憲を発議できない。ハードルが高すぎるので「両院の過半数の賛成」に改めるべきだという批判がある>
96条の改正にも3分の2の(多数派の)形成が必要ですが、国民の6、7割は憲法を改正すべきだと考えている。<注=昨年9月の毎日新聞の世論調査で改憲賛成は65%>にもかかわらず、3分の1をちょっと超えた国会議員が反対すれば、国民は憲法に指一本触れることができないというのは、おかしいと私は思います。国民の手に憲法を取り戻すための改正を優先したいと思っている。
−−首相在任中に改憲するお考えか。
◆任期中に目指していきたい。
安倍首相の指摘どおり、国民の多くは改憲賛成であり、憲法を改正することなく、「解釈」の変更等によって物事を進めていくことは、立憲国家としての在るべき姿ではないことを考えれば、まずは96条を改正し、改憲の発議要件を緩和することは同然のことだろう。
ところが、である。左翼の連中はとんでもないことを言い出している。
又市征治・社民党副党首は、記者会見で以下のような発言をしている。以下抜粋(2月8日付朝日新聞デジタル参照)。
安倍晋三首相は参院本会議で「憲法96条の改正に取り組んでいきたい」と答弁した。憲法99条は「天皇又(また)は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」とある。
まさに99条に違反する趣旨の発言であり、不見識としか言いようがない。(改憲論が)論議になったとしても、憲法を守らなければならない立場の首相が「憲法を変えます。取り組んでいきます」と言ったのは初めてではないか。立憲主義の認識に欠ける。
また、2月6日に開催される予定だった参院憲法審査会の非公式の幹事懇談会が、民主党の意向で急遽、取りやめとなった。国会答弁で憲法改正に意欲を示した安倍晋三首相への反発というのが理由だという。
これに関して民主党の池口修次参院国対委員長は、上述のように、安倍首相が国会答弁で憲法改正要件を定めた96条改正に意欲を示したことに触れ、「憲法を守る責務を負う首相が公の場でそのような発言をするのはいかがなものかと民主党憲法調査会で問題になっていると聞いた」と述べた(2月6日付msn産経ニュース参照)。
一体、社民党や民主党の左翼連中の頭の中はどうなっているのか。首相が公の場で憲法の問題点を語ることは許されない、などというバカな話がどこにあるのか。
上述の又市氏の議論は、改憲をさせないためには何でもありと思われる無茶苦茶な発言だ。
同氏は安倍首相が改憲について発言したことについて、「憲法99条に違反する趣旨の発言」としているが、全くの言いがかりに過ぎない。99条の主旨は、国家権力による憲法を逸脱した行為を禁じたものであって、首相や閣僚、その他の国会議員が改憲を目指したり、議論したりすることを禁じたものでは決してない。
もし又市氏の主張が正しいとすれば、憲法96条の「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する」という規定が有名無実のものとなってしまう。
といのも、上述の通り、96条は憲法の改正を認めたうえで、その発議は国会議員が行うと定めている。又市氏が主張するように、「国会議員である」首相が改憲発言を行うことが「まさに99条に違反する趣旨の発言」だとするのであれば、全ての国会議員が改憲の議論を行うことはできなくなる。何故なら、99条では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員」による憲法尊重・擁護義務を謳っているものの、内閣総理大臣に関して特化した規定は何もないからだ。
よって、首相が改憲発言をしたことが「不見識」であり、「立憲主義の認識に欠ける」などとするのは明らかに「言いがかり」の類であり、又市氏こそ、立憲国家おける国会議員として、「認識に欠ける」人物である。さらに言えば、同氏の憲法99条の曲解こそ、同条が定める国会議員の「憲法尊重・擁護義務違反」であると言わざるを得ない。
時代にそぐわなくなり、国民の利益に適わなくなった憲法、あるいは個々の法律を改正するのは当然のことだ。憲法や法律自体を護ることがそれらの目的ではなく、国民の利益を護ることが目的なのだから。もっと言えば、現状に即していない憲法や各種法律の改正を怠る国会議員は、「怠慢」の誹りを免れない。
そのような明白な事実に目を瞑り、明らかに誤った憲法解釈をしてまで、社民党、民主党左派などの左翼連中は一体何がしたいのだろうか。全く理解に苦しむ。
憲法9条を改正すれば、それが即戦争への第一歩になるという彼らの、時代遅れ、かつ短絡的な思考にはもはや反論する気にすらなれない。逆に、9条を堅持してさえいれば、日本は何の争いにも巻き込まれず、永遠に平和でいられるとでも思っているのだろうか。
いわゆる「護憲派」と呼ばれる連中は、論理などなく、「生理的に」何が何でも憲法を変えたくない、社民党の福島瑞穂党首や、(今は政治家ではないが)田嶋陽子氏のような現実が全く見えておらず、日本が大人しくしていれば、領土問題は「自然に」解決するし、他国との紛争など起こらないという幻想の中に生きている「夢想家」。あるいは、特アから何らかのかたちで相当な利益を得ていたり、心から日本を憎んでいる「似非日本人」。もしくはその両方なのだろう。
繰り返しになるが、国民の代表としての政治家にとって最も重要なことは、憲法を金科玉条の如く崇め奉ることではなく、国民の利益を護ることである。その点を左翼政治家は完全にはき違えているし、それは国民にも見透かされている。
その証拠に、典型的な「護憲政党」である社民党、及び共産党の衆議院選挙比例区での得票数は着実に減少している。社民党はここ数回の総選挙で最高の得票数であった2005年の約370万票から、昨年の総選挙では約140万票へと、そして共産党は2009年の約490万票から約370万票へ、それぞれ大きく後退した。組織力がある共産党は、今後もある程度の票数は確保していくと予想されるが、社民党はここ数年のうちに消滅する危機さえある。
左翼政治家は長年に亘って、「護憲・平和」というような耳触りのいいスローガンで自虐史観に囚われた国民を上手に欺いてきた。しかし今や時代は変わり、彼らの主張は矛盾だらけであり、その政策は実は「反日」であることに多くの有権者が気付いた。
彼らは憲法改正を「時計の針を戻す」などと表現するが、逆にそれは、戦後、「思考停止」に陥っていた日本人の目を覚まさせ、止まっていた時間を前に進めることに他ならない。左翼が最も「輝いていた」数十年前に、「時計の針が戻る」ことは決してない。
安倍首相には、「異常」な左翼政治家の憲法論議に与することなく、心から日本の将来を憂う党内外の同志と共に、着実に改憲の議論を進めていただきたい。天地人とも、今、安倍首相に味方しているのは間違いないのだから。
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こんばんは、Ayakikkiさん!
彼らの共通点は、一切聞く耳を持たないということですよね。原理主義者ですからしようがないんですが。
確かに民主党政権を経て、左翼は凋落の一途ですね。彼らの言論の自由まで奪えとは言いませんが、反日行動は絶対に許容できません。
市場原理主義者は厄介ですね…。経済の素人の僕ではありますが、彼らの主張は正しいと思えない、というか僕が考える政府の在り方とは相容れませんね。
まぁ、安倍政権が様々な問題に関して、日本を大きく変えていってくれることを期待しましょう!
投稿: Mich | 2013年2月12日 (火) 00時18分
◇教条主義・原理主義者達の戯言…
経済の分野でもそうですが、「異常」ですよね…まったく!
> 国民の代表としての政治家にとって最も重要なことは、憲法を金科玉条の如く崇め奉ることではなく、国民の利益を護ることである。
ご指摘のとおり、サヨクにせよ市場原理主義者にせよ、原理・原則や教義・教条などのイデオロギーの虜になって、肝心の「目的」を見失う事が多く、いつしか「異常」なまでに固執してしまう…。
サヨクは幸い近年斜陽化していますが、市場原理主義者達は未だ健在なので難儀です…。
投稿: Ayakikki | 2013年2月11日 (月) 07時11分