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2013年2月 3日 (日)

日本が抱える「公明党問題」Part 2 ‐自民党を懐柔した政界の「モンスター」‐

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(画像は小野市議会公明党ホームページより)


前回の記事、「日本が抱える『公明党問題』Part 1 ‐安倍内閣『戦後レジームからの脱却』への障害‐」では、公明党の問題点、そして同党が安倍内閣の政策遂行を妨げるおそれがあることを指摘した。

そして、「次の参院選で、自民+第三極で3分の2以上の多数を確保できれば、公明党などお払い箱にすればいい」との議論に対し、「ことはそれほど単純ではない」と述べさせていただいた。

何故、自公連立政権から公明党を追い出すことが簡単ではないのか。

まずは、自公の選挙協力について。1999年の自民党・小渕恵三内閣で自公連立の枠組みができて以降、自民と公明は選挙協力を行っている。衆院選での両党の選挙協力は、「選挙区は自民、比例区は公明」という棲み分けを基本としている。ただし、公明が小選挙区に候補者を擁立した場合には、自民党はその選挙区では候補者を立てず、直接対決を避けるようにしている。

そうすることにより、自民党は小選挙区において、公明の支持層=創価学会員からの得票が期待できる。特に学会票が多いと思われる選挙区においては、自民党候補は「選挙区は自民、比例区は公明」を強調し、最大限学会票を取り込むよう努めている。

この戦略が、両者にとってメリットがあるのかどうかについて、明確に分析する術はないが、10年以上に亘って選挙協力が続いている現実を見ると、両者の連携について、以下で議論する通り、総体的には相互に利益があると判断されているのだろう。

僕からみると、学会票を期待できる自民党にとっては「おいしい」仕組みだとは思えるが、例え候補者から「比例区は公明へ投票を」と言われても、自民党支持者が素直に公明に投票しているとは考えにくいのだが。

おそらくは、そうした公明にとっては、いわば「片務的」な選挙協力だとの批判をかわすため、自民側は政策面において公明の主張を取り入れてきた。例えそれが全くの「無駄遣い」であったとしても。

そのような政策の例として挙げられるのは、まず、公明党の強い主張によって1999年に発行された「地域振興券」。これは、財源を国が全額補助することによって、全国の市区町村が発行し、一定の条件を満たした国民に1人2万円分、総額6,194億円を贈与という形で交付した。

自民党内には、「単なるバラマキ」との強い批判があった。しかし、当時の内閣官房長官・野中広務氏は、「(以前から公明が主張していた地域振興券は)天下の愚策かも知れないが、7000億円の国対費だと思って我慢して欲しい」と語り、また、公明との連立は学会票を得るための選挙対策であること、その見返りが公明党の要望する地域振興券だった、と述べたとされている(Wikipedia参照)。

「子育てを支援し、老齢福祉年金等の受給者や所得の低い高齢者の経済的負担を軽減することにより、個人消費の喚起と地域経済の活性化、地域の振興を図ること」が目的だった地域振興券であったが、当時の経済企画庁の調査によれば、振興券によって増えた消費は振興券使用額の32%であったとしている。つまり、残りの68%が貯蓄に回されたり、振興券がなくても行われた消費に使われたということになり、野中氏の発言通り、国民の血税・数千億円は公明への「国対費」として泡と消えた。

また同様の例として、2009年に実施された給付形式の定額減税政策である定額給付金」。日本に住所がある個人や在留する外国人を対象に、1人につき12,000円を給付。基準日に65歳以上、18歳以下の人たちには8,000円が加算され、給付額は20,000円だった。

これも公明党が強く主張した「愚策」であり、同党は当時ホームページ上に、「急激な物価高から生活を守る視点から、公明党が提案し実施を勝ち取った『定額減税』が大きな反響を呼んでいます」と、勝ち誇ったように掲載していた。

本施策について、「アベノミクス」を評価して話題となった、アメリカの経済学者ポール・クルーグマン(Paul Krugman)は、「定額給付金は米国などではほとんど貯金に回り、失敗した。なぜ日本が実施するのか理解できない」と述べた。事実、内閣府の調査によれば、定額給付金がなかった場合と比較して消費が増加した金額は、定額給付金受取総額に対する割合の32.8%に過ぎず、地域振興券同様、大いなる税金の無駄遣いであった(Wikipedia参照)。

ここまでして自民が公明との連携、特に選挙協力に拘る理由は、もちろん選挙における学会票であることは言うまでもないが、その依存度が、今となっては決定的と言えるほど高くなっているという現実が、今後、安倍内閣が各種政策を遂行するための足かせになる可能性がある。

創価学会の会員数は、ホームページによると827万世帯と記されている。これが正確な数値かどうかは分からないが、正確だと仮定し、もし各世帯に有権者が1名いるとすれば、学会が有する基礎票は830万程度はあると考えられる。大雑把な計算になってしまうが、この数字を小選挙区の数300で割ると、約28,000。選挙区の規模によって、当選のために必要とされる票数は異なるが、平均値で1選挙区当たり20,000~30,000という学会の基礎票は大きな魅力だ。

そのように考えれば、小選挙区の自民党候補、特に選挙に強くない候補にとって学会票は、喉から手が出るほど手に入れたいものであろうことは想像に難くない。1999年に選挙協力を始めて以降、多くの自民党候補者がその票によって助けられたことは間違いないだろう。

しかし、自公の関係次第では一気に失う恐れのある学会票は、自民党候補者にとっては、「禁断の果実」であった。本来は自らが必死で支持者を開拓し、その政策、あるいは実績によって有権者を引き付けるべきであったところを、選挙協力によって安易に学会の組織票に頼ってきた。それによって候補者の「足腰」はすっかり衰えてしまい、得票網は完全に弱体化している。

そのような候補者は、自公の選挙協力が白紙となり、学会票が得られなくなれば、当選は覚束ないだろう。とすれば、公明党との連立解消には猛烈に反対するはずだ。

そうなると、いくら次期参院選において、自民+第三極で3分の2の多数を得たとしても、自民党が公明党に対して連立解消の引導を渡すことは相当な困難を伴うだろう。目先の票に釣られて公明党に懐柔された自民党は、「自縄自縛」の状態に陥っており、今や政界の「モンスター」となった公明党に抗うことができない状況にあるのだ。

上述のように、自公の選挙協力は、ある種の「片務契約」であり、少なくとも選挙においては自民党のメリットの方がはるかに大きい。ただ、公明党は、上述のように、その「愚策」を実現してもらうとともに、政権与党に留まることにより、選挙協力で自民党に一方的な利益を与えたとしても余りあるものを享受することができる。

公明党(創価学会)にとっては、国政以上に都議会で与党であり続けることが重要事項である。というのも、宗教法人としての創価学会に認可を与えているのは東京都であり、その首都東京で政権与党を占めると言うことは、創価学会に対する法人としての適否の判断、あるいは税務調査等の不利益を避けるという意味で、学会にとっては生命線だと言える。

一方、都議会での与党という立場に加えて、国政における与党の地位を保ち続けられるならば、これは公明党=創価学会にとっては、「鬼に金棒」とも言える状況になる。つまり、例え東京都知事、あるいは議会の特定勢力が「反創価学会」で「独走」する事態に陥ったとしても、国政与党の立場にあれば、それを牽制するための方策を講じることが十分可能であると考えられるからだ。

都議会における宗教法人認可・監督に関する具体的な権力、加えて、国家権力の中枢に在ることによる、ある種の間接的権力。その両方が、創価学会維持のために必要とされているのだろう。そうした、組織の根本を防衛することが公明党にとっての至上命題であると考えれば、例え「片務的」な選挙協力であったとしても、現在与党であり、今後もそうである可能性の高い自民党との結びつきを維持することは、個々の政策はともかく、創価学会総体としては、サバイバルのための賢明な方策と言えよう。それゆえ、簡単にはその「権益」を手放すことはないだろう。

このように、少なくともこれまでは、自民・公明、相互の利益のためにその連携は機能してきた。しかし、民主党の無能さを目の当たりにした有権者が自民党に回帰し、加えて、第三極が勢力を伸張させている現状を考えれば、そもそも公明党に違和感を覚えている自民党支持者が、「公明追放論」に傾いたとしても不思議ではない。

それでも、「反公明・反創価学会」の世論は必ずしも盛り上がらない可能性があると見る。それは、公明=創価学会批判は、ある種の「タブー」となっているからだ。
(この章続く)

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コメント

伊阪ドンさん、こんばんは。コメントありがとうございます。

言い得て妙ですね(笑)。僕は、「面倒くさい恋人」というところまでは考えていましたが、別れた後ストーカーになるような発想はありませんでした。つまり、連立を解消すれば単に学会票を失うだけだと思っていましたが、ご指摘の通り、それに止まらず、自民に対して選挙妨害を行う可能性もありますね。

男と女も、政党同士も、たちの悪い奴とつき合うと、別れた後大変だということになりますかね…。

公明党(創価学会)が何を目的としているのかよく分かりませんが、自民党陣営から見た場合、「選挙でジャマをされない」ための連立なのかなという気がします。
例えるならば面倒くさい恋人みたいな感じなのかなと。相槌を打っているうちは大人しくしているのですが、別れ話を切り出したとたんに態度が豹変して暴れだす…みたいな。

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