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2013年1月 2日 (水)

「危機突破」のため急がば回れ ‐野党は米「財政の崖」回避に学び与党は丁寧な政権運営を‐

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写真は自民党ホームページより)


自民党が政権を奪還した2012年が終わり、「日本を取り戻す」ための2013年が始まった。

安倍晋三首相は年頭所感において、経済については、「金融政策、財政政策、成長戦略の三本柱でデフレ・円高を克服し、日本経済の再生を図ります」。外交・安全保障については、「失われた日米同盟の絆を回復・強化し、東アジアの平和と安定を確保します。そして、強い外交力を取り戻した上で各国との関係を改善し、領土・領空・領海を守り抜いてまいります」と表明。

教育、復興についても触れたうえで、「いずれの課題も重要かつ困難な課題ですが、我々は怯むことなく真正面から向き合い、スピード感をもって取り組んでまいりたいと思います」とし、早期に結果を出すとの意欲を見せた。

話は変わるが、アメリカでは、個人所得税を中心とする減税の期限切れと歳出の強制削減が年明けに重なり、経済全体の需要が崖から転げ落ちるように減り、景気に打撃を与える懸念、いわゆる「財政の崖」回避に向けた法案を、上院において89対8の圧倒的賛成多数で可決した。同法案の下院での早急な可決が条件とはなるが、当面の危機は回避される可能性が高まった(1月1日付ロイター)。

法案の概要は、まず、強制的な歳出削減開始を2カ月先送りする。そして所得税に関しては、中産階級への減税は継続する一方、年収40万ドル超の個人および同45万ドル超の世帯は増税となり、最高税率が現在の35%から39.6%に引き上げられる。この層については、キャピタルゲイン税や配当税も15%から20%に戻る。また、遺産税については、1000万ドル以上を対象とした税率を35%から40%に引き上げる。つまり共和党の支持者が多い富裕層が「痛み」を受け入れるという内容。

ここまで書いたところでThe Washington Postを確認したところ、上院を通過した法案を下院は無修正で可決。「財政の崖」による危機は取りあえず回避された。Postによると、下院でマジョリティを持つ共和党は、法案を下院で潰してしまい、ほぼ全ての国民が増税となれば、その責任は下院が負うことになると懸念。また、正月休み明けの株式市場でのネガティブな反応を考慮し、法案通過を選択したようだ。

アメリカにおいても、上院のマジョリティは民主党、下院は共和党と「ねじれ」状態にあるため、これまでも度々対立し、オバマ大統領(民主党)は政権運営に苦労してきた。

しかし今回の「財政の崖」問題は、アメリカ経済に壊滅的打撃を与える可能性があったため、多数派であり、強硬な「反オバマ」勢力である「ティーパーティー議員」を抱える下院共和党もさすがに折れざるを得ず、文字通りギリギリのタイミングで危機は回避された。

もっとも、今回の法案では多少の増税はあるものの、大幅な歳出削減や財政赤字の削減には繋がらないため、米議会における財政問題の火種は残ったままだと言えるが。

危機回避に主導的な役割を果たしたのは、ジョー・バイデン(Joe Biden)副大統領(民主党)とミッチ・マコーネル(Mitch McConnell)共和党上院院内総務(Postの記事参照)。

アメリカでは民主党、共和党それぞれの議員が法案ごとに投票態度を変えることがあるため、必ずしも「党議拘束」には縛られない。その裏では、ホワイトハウス側が、個々の議員に対して その議員にとって有利となる様々な裏取引を持ちかけたり、弱みを突いたりと、虚々実々の駆け引きが繰り広げられる。

このような政治文化は日本とは大きく異なるため、両国での議会の在り方を単純に比較はできないし、どちらが良い悪いとも言えない。ただ、今回の米議会の動きは、同様に「ねじれ」問題を抱える日本も参考にすべき点があると考える。

安倍首相の年頭所感からも読み取れるように、現在の日本において、特に経済、復興、外交・安全保障は待ったなしの状況にあることは誰もが理解しているだろう。そうした課題を迅速に前進させていくこと。それこそが、国民が政治に期待してしていることだという点についても異論はないだろう。それは与野党とも共通の認識であると思う。

しかし、今年の参議院選挙こそ本当の勝負と考える自民に対して、野党は相当厳しい対応に出ることは間違いない。政局的に考えれば、安易に安倍内閣に「得点」を与えられないという野党の考え方は当然だとも言える。

そうではあるが、現在の日本はあらゆる分野において、国家的危機にあることは間違いない。その点を考慮した議論を、読売新聞は1月1日付社説で展開している。

「政治の安定で国力を取り戻せ」と題した同社説では、「先の衆院選で自民、公明両党が法案の再議決が可能な定数の3分の2を超える議席を獲得した。政権担当経験がある自公両党による安定した政治、前に進める政治を、有権者が選択した結果にほかならない」としたうえで、民主党にもその責任を果たすよう求める。

「民主党は大敗して下野したが、衆院でなお第2党にある。参院では引き続き第1党を占めている。当面、自公民3党の連携を軸に、第3極を含めた部分連合を模索する必要がある」。

一方安倍首相に対しては、「衆院選で大勝した政権が、民意の揺り戻しによって、次の参院選で敗北するケースが続いている。首相に求められるのは、丁寧に合意形成を目指す、節度ある政権運営である」と、成果を焦って数の濫用による政権運営を行うことを諌めている。

個人的には、民主党に対する不信感はあるものの、読売の主張はまさに「正論」であり、こうした政治が行われることにより、日本の「危機」が回避されるであろうし、国民の「政治不信」も緩和されていくだろうと考える。

そのために安倍首相には、「スピード感を持つ」ことは重要ではあるが、功を焦るあまり3分の2超の数に頼り過ぎることなく、極力より多くの議員の賛同を得たうえで課題をクリアして行くことを望みたい。

また、民主党、及び第3極に対しては、反対すべきは反対するのは当然としても、政局に走り過ぎ、「与党の主張には何でも反対」といった古き悪しき野党として存在するのではなく、是々非々の態度で、日本の議会制民主主義の「進化」へ貢献してもらいたい。

理想論に過ぎるとのご批判もあろう。僕自身もその通りだと思う。

例えば、上述のアメリカ議会における「財政の崖」回避も、決して純粋に国民生活を危惧してのものではないだろう。個々の議員が自己の利益を考えたうえでの、妥協の産物であることはPostの記事からもよく分かる。

日本においても、政治家が最初に考えるのは選挙のことであり、自分の選挙にプラスになるための判断が第一であることは否定しない。

しかし、新しい年が始まったばかりの今くらいは、日本の民主主義の理想を語っても良いのではないのかとも思う。

2013年の日本がどのようになるのかはまだ分からない。しかし、少なくとも2012年の年末よりは、一人でも多くの方が幸せを実感できるような年になって欲しいと、心から願う。

P.S.今回の、アメリカにおける「財政の崖」回避が何故可能だったのかをごく単純に言えば、政治家達が有権者とマーケットを恐れたためと考えられる。日本では、政治家はマーケットを恐れはしても、有権者は舐められ続けてきた。今年は参議院選挙もあるので、「恐れられる有権者」になりましょう!


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コメント

Ayakikkiさん、こちらこそ今年も宜しくお願い致します。

確かに良いスタートですね。この調子で株価がどんどん上昇し、企業の投資、そして消費者の消費「マインド」が上向いていくことを願っています。必ずそうなりますよね、今年の日本は!

◇2013年巳年大発会の日経平均株価終値は…

「292円93銭高の1万688円11銭」でした。
東日本大震災前の1万600円台を回復。
日本経済にとっても、安倍内閣にとっても幸先の良いスタートです!

今年も何卒よろしくお願い致します!

 m(_ _)m

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