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2013年1月14日 (月)

地方紙で垂れ流される「左翼思想」 ‐偏向・共同通信の恐るべき地方支配‐

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(共同通信本社 写真はWikipediaより)


「旧来型の手法全開」(1段の半分の大見出し)、「族議員に官僚便乗」(4段の小見出し)。

これは1月11日に安倍内閣が緊急経済対策を閣議決定した翌日、1月12日付の、僕が現在在住している新潟県の県紙(発行エリアが一府県の全域にわたる新聞)・新潟日報が2面(総合)に掲げた見出しである。

この日の新潟日報は、一面では「60万人の雇用創出」と4段の見出しで、安倍内閣の緊急経済対策を客観的に報じながらも、「しかし国の借金である国債を5兆2千億円発行することになり、国の財政は一段と悪化する」と内閣批判も欠かさない。

そして2面においては、冒頭の見出し等の記事で「アベノミクス」に批判的なスタンスで一貫している。曰く、「財務省は、民主党の野田政権が敷いた財政再建路線を何とか維持しようと、当初は対策の規模拡大に抵抗する姿勢をみせたが、政治の大合唱を前に『最後は膝を屈した』(経済官僚)。財政の歯止めは吹き飛んだ」。「民主党政権は『コンクリートから人へ』を掲げ、子ども手当や高校無償化などを通じて、需要や雇用を生み出すことを目指した」。「民主党政権が減らした公共事業を復活させ、財政拡大路線にかじを切った緊急経済対策」…。

民主党政権による経済対策(そのようなものが存在したとすればの話だが)の効果を検証することなく、安倍内閣の経済対策を一方的に批判する姿勢は、もはや民主党の機関紙かと見紛うばかりだ。

ただ、新潟日報が紙面に掲載されたような左翼的思想を持った新聞なのかといえば、必ずしもそうではない。その裏には、共同通信の存在がある。

まずは日本の新聞について説明させていただきたい。本ブログの記事「大手メディアの安倍内閣報道 Part 2 ‐ネット騒然・中日「実力発揮」そして「番組崩壊」TBS‐」で既に説明した内容であるので繰り返しになるが、ご容赦いただきたい。

いわゆる全国紙と呼ばれのが、読売、朝日、毎日、日経、産経各紙。各府県でのみ発行されているのが県紙。例えば、僕が今住んでいる新潟県においては、新潟日報が県紙に当たる。それらに対して、県紙よりも規模は大きいけれど、全国紙のようには日本中を網羅していない新聞をブロック紙と呼び、中日新聞、北海道新聞、西日本新聞、河北新報、中国新聞などがこれに相当する。

全国紙やブロック紙に比べて資金力のない県紙が、全国ニュースをカバーする能力はもちろんない。そこで登場するのが共同通信である。

共同通信(一般社団法人共同通信社、以下共同)は、英国のロイター、米国のAPとならぶ、世界を代表する通信社であり、日本国内はもとより世界に圧倒的な取材網を構築している。NHKや各種新聞計59社が社員社として、毎年の予算を負担する社団法人組織をとっており、社員社は日経、産経のほか、上述ブロック紙の中日、北海道新聞、西日本新聞が主で、特にブロック紙の出資比率が高いとされている(配信先の報道機関はWikipedia参照)。そして共同通信は、その社員社などに記事を配信し、それを県紙始め各種メディアが記事として掲載することとなる。

共同が記事を配信し、それを各種メディアが活用することは全く問題ない。資金力がなく、広範な取材網を持てないメディアが幅広いニュースを提供するため、共同のような通信社の配信を活用するのは全世界的に見ても当然であり、メディアの世界では常識であるからだ。しかし、日本においては、この国特有の問題点がいくつか存在する。

まずは、日本の県紙の報道力は極めて低く、地元発のニュース以外、つまり、政治面、社会面、経済面、国際面、そのほとんどが共同からの配信記事で埋められていること。読者は各紙独自の取材による記事であると考えているものが、実は共同の配信によるもので、全国の県紙がほとんど同じものを掲載している「金太郎飴」的なものだということは、多くの読者が知らない「隠れた事実」である。

僕がそれに気付いたのは、当時勤務していた企業の広報部に配属された時。所属していた支社は複数の県を統括していたので、自社記事のスクラップのため、毎朝複数の県紙を読んでいた。ある時、日付は違うけれども、二つの県紙がオピニオン的なコラムで、全く同じ記事を掲載しているのが目に留まった。それを不思議に思い、色々調べたところ、共同による地方紙支配の構図を理解したわけである。

それが二つ目の問題に繋がるのだが、例えばThe New York TimesThe Washington Post、あるいはThe Guardianなど欧米各紙が、AP、AFP、ロイターなど通信社の記事を引用した場合は、「これは我々の取材記事ではなく、通信社からの配信記事ですよ」と分かるように、必ず引用した通信社のクレジットを入れる。しかし日本では、各メディア自らが共同に出資していることもあってか、配信記事を丸写ししても「共同」というクレジットを入れないメディアが非常に多い。

APなどの記事をクレジットなしで引用すれば、著作権侵害で猛烈な抗議を受けるが、共同はその資本関係からか、その点に関して配信先に抗議することはない。自社の独自取材の記事ではないものを、あたかもそうであるかのように掲載することは、メディア研究者として、かなり倫理的な疑問を感じる。しかしそれとても、読者サイドから見れば、大きな弊害ではない。愛読紙の能力を過信する程度の誤解で済むからだ。

より深刻なのは三つ目の問題。それは、大袈裟に言えば、新聞社の「魂」とも言える社説も、各県紙は共同の配信を「コピペ」している事実である。

共同から加盟社に対しては、日々大量の配信がなされているが、その中に「資料版論説」と呼ばれる、いわば社説の「虎の巻」のようなものが存在する。それは、共同が加盟社に配信する社説を書く際の参考資料であり、政治、経済、国際など、地方紙では突っ込んだ取材が難しいテーマに関しての、いわば「雛形」である。

ブロック紙は比較的「取材力」があるので、独自の論説を展開していると推察するが、少なくとも県紙は、この「資料」を多少削ったり、書き換えたり、あるいは「そのまんま」掲載したりしている。社説までも共同頼みであるこの現状を、県紙の記者・編集者はどう考えているのだろうか。記事も解説も、そして社説までも通信社の配信記事で埋めるのであれば、そんな新聞に存在価値があるのかどうか、極めて疑問である。

それでも、我が実家は県紙を取り続けている。理由は、母が「訃報欄」で義理のある方々のご不幸を確認したい。それだけのことである。だとすれば、地方においては、「訃報専門新聞」を発行しても採算が取れるのかもしれない。

ここまで議論してきたことは、ジャーナリズムとしての倫理の問題であるが、それでさえ、共同が「フェア」な記事を配信しているのであれば、大騒ぎするほどのことではないのかもしれない。最大の問題は、地方紙が報じるほとんどのニュースを提供し、社説すら依存させている共同が「偏向」していると思われることだ。

産経新聞社会部編集委員・安藤慶太氏は、共同が配信する「要注意原稿」として、以下の項目を挙げている。

・北海道はじめ教育行政に関する記事、特に国旗国歌問題や道徳教育、教職員組合をめぐる様々な原稿
・教科書問題や歴史認識をめぐる記事
・領土問題をめぐる記事
・北朝鮮関連、最近では高校無償化策のうち、朝鮮学校への適用の是非をめぐる記事
(責任編集・日下公人「誰も書かなかった『反日』地方紙の正体」より)

冒頭の新潟日報の記事も、そうした共同の「反日」姿勢を反映したものであり、それは日報のみならず、全国の県紙に「垂れ流されている反日思想」である。朝日、毎日、NHK、TBS、テレ朝などの「偏向」は全国民にとって分かりやすく、批判しやすいものであるが、共同による地方紙支配は、認識されにくいものであるにもかかわらず、その影響は甚大である。

というのも、新聞に関して言えば、全国紙(読売、朝日、毎日、産経、日経)の発行部数の合計はおよそ2500万部。それに対し地方紙(ブロック紙含む)の部数は約2000万部(数字は各種資料から推計した「ざっくり」とした数値であるので、その点ご了解いただきたい)。しかも地方紙は、ほとんどの地域で普及率が50%を超える。それほど影響力のあるメディアが、取材網の弱さゆえ唯々諾々と共同の配信をそのまま記事化していると考えると、日本では大都市よりも、地方においてより「反日思想」が形成されやすい状況にあると考えられる。これは首都圏在住の方が考えておられる以上に、深刻な問題である。

ただ、光明もある。ツイッターで僕がフォローさせていただいているapplejonagold氏は昨年12月20日、「産経新聞を購読しているが、今朝はポストにもう一紙。『ぜひ一度、読んでみてください』と書かれたチラシと共に入っていた地方紙。同じ日付、早速一面を比べてみる。産経新聞一面『物価目標2% 日銀に要請 安倍氏、政策協定も』かたや、地方紙一面『韓国大統領に朴氏』・・・これなんだよ、この違い」とツイートされていた。

それに対して僕は、「まぁ、地方紙は共同通信頼みですからね。私の地元の地方紙も同様です。そんなニュース興味ないのに…」と返信させていただいた。

また、伊坂ドン氏は「新潟日報はかなり左寄りですよ。今日の朝刊一面には『バラマキへの回帰』とありましたw社説でも新政権に冷ややかです」とツイートされており、「地方紙は共同通信のコピペですから、必然的にそうなりますよね」と僕の意見を伝えた。

彼らのように、地方紙の問題点を理解されている方が存在していることは、今後、共同の偏向を「追及」していくうえで、非常に心強い事実だといえる。

全国紙、あるいはキー局の「偏向」はほぼ全国民が「監視」できるので、ある程度「健全」な状態にあると言えるだろう。一方地方紙は、その地域の人にしか読まれず、かつ、共同の「支配下」にあるなどとは、多くの人は知らない。それ故、共同にコントロールされた地方紙の偏向を理解している皆さんは、今以上に声を上げる必要がある。

本ブログを読まれている知識のある方には分かりきったことかもしれないが、現在の日本におけるメディアの状況を知らずにおられる方に、少しでも現状を伝えるべく、「地方紙も偏向『させられている』」と主張することは極めて重要だ。

ただ、何の力もない僕一人では、なかなか世の中に真実を伝えきることはできない。それゆえ、全国の心ある皆さまに、共同による「地方支配」を少しでも多くの方に伝えていただき、それに囚われることなきよう啓蒙していただきたい。それは僕の考えを押し付けようという意図ではなく、事実を知ったうえで、自分がどう考えるのか判断する材料を持っていただきたいという観点からのお願いである。日本国の健全な民主主義発展のため、どうぞ宜しくお願い致します。


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コメント

なに言うとりまんねん!さん、こんばんは。

確かに良い意味でも悪い意味でも、日本は細かいですね。電車が数分遅れた程度で文句を言う人など、海外にはいませんしね。

イギリスの田舎での話なのですが、当然のごとく電車は時間通りには来ません。しばらく経って、「20分遅れます」とのアナウンス。それでも電車は来ません。再度、「更に20分ほど遅れます」とのアナウンス。しかし全然電車は来ません。最後には、「出来る限り早く到着できるよう努力しています」とのアナウンス(笑)。東京でこんなことが起こったら、サラリーマンたちが大激怒でしょうね。

僕は仕事で海外に赴任したことがないので、なに言うとりまんねん!さんのご苦労は想像することしかできませんが、ずっと日本にいても、現状を変えたくない奴、物事を先送りしたい奴で溢れていますからね、日本の会社組織は。

悩みは尽きないでしょうが、頑張れ日本男児!日本の空の下から応援しております。

Mich様 コメントへ返信有難う御座います。

日本の良さはそれはそれは非常にすばらしいものです。
でも、最近、日本のわずらわしさ(細かすぎる)が少し気になっています。

前に進めばいいのですが、ブレーキを踏む、または、ニュートラルにする(決めない)人が多くて、、、
(仕事の愚痴です。。。)

なに言うとりまんねん!さん、こんばんは。拙ブログにお立ち寄りいただき、またコメントまでいただきましてありがとうございます。

そうですね、「対戦」させていただいていましたね!

広州にお住まいですよね。僕も数年、海外で生活していたことがあるのですが、海外から日本を見ると、ずっと日本にいた時とは違う、日本に関しての新たな発見がありますよね。僕の場合は、東京が嫌いで日本を脱出したのですが、海外生活によって日本の素晴らしさを認識することができました。

日本と中国はなかなか難しい関係にありますが、また貴ブログへお邪魔致しますので、中国発の生の情報を色々教えてください。こちらこそ、引き続き宜しくお願い致します!!

Mich様 はじめまして、はじめての訪問&コメントさせていただきます。

実は、日本ブログ村の大和魂 11 トーナメントで、貴殿に破れ去った「なに言うとりまんねん!」でございます。
http://politics.blogmura.com/tmt_rankall4409.html

貴殿の報道に関する記事には、感服いたしました。

当方、中国からみた、報道に関するブログも書いています。
ただし、脳みそがどろどろですので内容も柔らかい記事と成っています。

一期一会、なにかのご縁で御座います。これからもよろしく御願い致します。
 

伊阪ドンさん、こんばんは。拙ブログにお立ち寄りいただき、本当にありがとうございます。

的確なご指摘に感謝致します。確かに、共同の配信記事を掲載するにしても、自社の主張と整合しない部分を削除したり、書き換えたりして掲載している県紙も存在します。そういう意味では、共同の、僕から言わせれば「偏向」した記事を掲載すると選択すること自体、日報の「主張」と言えますよね。本記事においては、その辺りの議論が不足していたと考えています。

昨年、何十年か振りで新潟に戻ってきたもので、まだ日報を十分に読みこなせていませんので、引き続き、ツイッターも含め、色々ご指導いただければ幸いです。

元ネタである共同通信の記事がまずもって偏向しているという事は理解しました。しかし、新潟日報に関して指摘させてもらうと、日々の読者投稿欄を使って相当の左翼思想を代弁させています。また、地元にそれを抱えているとはいえ、元日の一面が原発関連の記事でした…そう考えると共同通信の記事のみならず、新潟日報自らもそういうイデオロギーなのだと考えざるを得ません。

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