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2013年1月 4日 (金)

安倍首相を「右翼の民族主義者」と呼ぶNew York Times ‐朝日に洗脳されたTimesに日本を論じる資格なし‐

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(写真はWikipediaより)


本日1月4日付msn産経ニュースは、「NYタイムズ、安倍首相を酷評 河野談話見直し『重大な過ち』『恥ずべき衝動』」と題し、The New York Times(以下Times)が3日付朝刊の社説で、産経新聞などが掲載した安倍首相のインタビューを引用し、同紙が首相を、「右翼の民族主義者」と決めつけ、「朝鮮などの女性を強姦、性奴隷にし、第2次世界大戦で侵略したことへの謝罪の見直しを示唆した」と非難したことを伝えた(Times原文参照)。

msn産経ニュースは、河野談話について、宮沢政権総辞職前日に閣議決定しないまま公表された経緯があり、第1次安倍政権は慰安婦問題について「政府が発見した資料の中には軍や官憲によるいわゆる強制連行を直接示すような記述は見あたらなかった」との答弁書を閣議決定したことに触れたうえで、 「インタビューにおける安倍首相の見解はこうした経緯を踏まえたものだが、ニューヨーク・タイムズ社説は物証を挙げないまま、強制性を前提に見直しの動きを批判している」とTimesの論調を批判的に伝えている。

Timesの同社説を読むと、日本について、「歴史を糊塗するのではなく、長期に亘って停滞した経済の改善に集中すべきだ」とまで「アドバイス」してくれている。全く余計なお世話である。

おそらくごく普通の日本人がこの記事を読むと、民主党より相当親米で、しかも集団的自衛権の解釈変更等によってアメリカ寄りのスタンスを取ることを示唆している安倍氏を、何故、アメリカの一流紙が、あたかも中韓のメディアの報道のように批判するのか疑問に思われることだろう。ただ専門家からすると、これはTimesの「いつもの」考え方である。

詳細を説明する前に、まずはTimesについて基本的なことを以下に記す。

Timesは、発行部数においては、The Wall Street Journal(WSJ)の211万部、USA TODAYの181万部に次ぐ、158万部で全米第3位(日経新聞参照)。WSJが経済中心、USA TODAYは大衆紙であることを考慮すれば、いわゆる「クオリティ・ペーパー」としては、The Washington Post(Post)を並ぶ、アメリカでもっとも影響力のある新聞であるということは間違いない。

個人的には、日本の新聞と英語圏の新聞しか知識はないが、その情報の質・量とも、おそらく世界一の新聞であると考えている(但し、アメリカ国内のニュースに限る)。

アメリカのジャーナリズム・スクールに通っていた頃、Timesの記者に取材し気持ちよく対応していただいた経験もあるし、当時のTimes編集幹部が同じスクール出身だったので、彼の講演を聞いてとても感動したことなどもあり、特にシンパシーを感じている新聞だ。もちろんアメリカでは毎日Timesを読んでいた。

加えて、僕が最も尊敬するジャーナリスト、デイビッド・ハルバースタム(David Halberstam)が若き頃、Timesの記者としてベトナム戦争報道でピューリッツァー賞を受賞したこともあり、同紙は、今でもジャーナリズム界の世界最高峰であると思っている(ハルバースタムは後に、彼がベトナムから送った記事の多くは、Times本社の編集サイドに握りつぶされたと述懐しているが…)。

そして、Timesの歴史に残る金字塔は、いわゆる「ペンタゴン・ペーパーズ報道」。ペンタゴン・ペーパーズとは、米国防総省のベトナム戦争に関する機密文書。これを入手したTimesは、1971年、時の政府の強い反対に抗して連載記事としてその内容を掲載した。当時副社長だった、同紙の伝説的記者ジェームス・レストン(James Reston)は、「タイムズは社屋を売りに出しても最後まで(政府と)戦う」と、会社が潰れることを厭わず、ジャーナリズムとしての意地を貫き通した。それは、「ウォーター・ゲート事件」におけるPostの報道と並び、アメリカジャーナリズムの黄金時代を築いた。

それほど僕が崇拝し、尊敬するTimesではあるが、こと日本に関する報道となると、それはもう「ガラクタ同然」である。人種的偏見や、一方的な歴史観に基づいた偏向報道を繰り返す。世界の一流紙が何故そのようなことになってしまうのか。

これを知れば皆さん納得されると思うが、Timesは日本においては朝日新聞と提携しており、東京支局を朝日新聞東京本社ビル内に設けている。つまり朝日に「洗脳」されているのだ。

世界のTimesともあろうものが、朝日ごときの影響を受けているとは信じがたいと思われる方も多いだろう。しかし、これは紛れもない事実であり、東京発のTimesの記事を日本人が読めば、必ず納得していただけると思う。

詳細は、このWikipediaページの「日本関連の記事」という部分が非常によく記述してくれていると思うが、簡単に説明させていただく。ノリミツ・オオニシ(Norimitsu Onishi)氏とニコラス・クリストフ(Nicholas Kristof)氏。この二人が記者・コラムニストとして、Timesの日本関連記事を徹底的に歪めてきた(ちなみに、クリストフ氏の妻は中国系アメリカ人)。

二人の代表的な「作品」は以下の通り。


オオニシ氏。

・2005年 中国の反日デモに関して、「日本は最近、高圧的な外交的態度を見せた。 韓国との葛藤に続き、中国との関係も悪化している。 アジアで孤立的状況を迎えている」「軍国主義的な過去史を美化する日本教科書問題は、国連常任理事国を目指す日本の未来にも影響を及ぼすだろう」と報道。

・2005年 自民党が長期に亘り政権を担当していることを批判し、「韓国や台湾は政権交代しているのにも関わらず、(日本は)中国や北朝鮮のような共産主義国と同様に50年以上政権交代していない一党支配」と細川政権の存在を無視した記事を掲載。

・2007年 当時首相であった安倍現首相を、「日本の戦時中の過去を軽く扱うことでのし上って来た国家主義者」と表現。


クリストフ氏。

・1995年 沖縄米兵少女暴行事件の直後、「日本女性が読む野蛮なコミック」と題して、「『レイプを称賛する』かのような、アメリカ人の感覚からするとエロティックというより病的な内容の女性向け漫画、レディースコミックを日本の女性の多くが読んでいる」と紹介。

・2010年 「1972年にアメリカが沖縄の施政権を日本に返還したため、尖閣諸島の問題で日本を助けるというばかげた立場をとるようになった。米国は核戦争の危険を冒すわけがなく、現実的に日米安全保障条約を発動する可能性はゼロだ」と主張。

・2011年 尖閣諸島の領有権に関して、「私の見解は、中国の領有権主張には揺るぎない歴史的根拠があるというものだ」と主張。



歴史的知識、国際社会に生きる人間としての識見に欠けた無能な記者はどうでもいいが、「世界の」Timesの記事が、韓国のタブロイドレベルの全国紙や、中国共産党に支配された新華社などと同程度なことに驚く方もおられるかもしれない。しかし、結局アメリカ人はアメリカにしか興味がないのだということが、ここにもよく表れているのだと思う。世界を全く知ろうとしないし、理解してもいない。ヨーロッパで暮らすとよく分かるが、どの国の人々も共通してアメリカ人をバカにしている。

僕は日本にフォーカスしてTimesの記事を批判しているが、このレベルでは、この新聞は他の国々の皆さんをも憤慨させているであろうことは想像に難くない。日本に関して言えば、おそらくTimesは、日本の「左翼」と欧米の「リベラル」が全く別物であることを理解せず、易々と朝日に洗脳されていると思わざるを得ない。

上述のmsn産経ニュースでは、米NSCの元上級アジア部長マイケル・グリーン(Michael Green)氏が、ニューヨーク・タイムズなどについて、「安倍氏を危険な右翼だと憎む朝日新聞や一部毎日新聞の見立てを輸入したものだ」との見解を紹介している。また以前Newsweekは、「Timesが日本関連の記事を書くときは、いつも好意的に書かないのに決まっている」と論評している。

また同紙は、東大名誉教授・上野千鶴子氏にも、「米国が捏造する日本」、「米国だけが世界だなんて狭すぎる」と厳しく批判されていることも付け加えておく。

最後に、こんなことを言うと低次元の議論になるので言葉にしたくないのだが…。Timesが日本の歴史認識について意見するのであれば、アメリカ大陸に上陸した彼らの祖先が、ネイティブ・アメリカンズにしたことに関し、Timesはどのような「認識」を持っているのか?

新大陸での生き残り方が分からない彼らの祖先に、ネイティブ・アメリカンズは親切にも、耕作方法などあらゆることを教えてくれた。そうした「恩人」を虐殺したり、サンクチュアリに押し込んだり、そしてサンクチュアリに原油があると分かれば、またネイディブ・アメリカンズを追い出し、別の場所に強制移住させる。

また、アメリカがかつて侵略したメキシコ、キューバ、フィリピン、あるいは今では自国の領土にしたハワイ、グアムについてはどうなのか?Timesの「認識」を聞きたいものである。

結論としては、朝日というプリズムを通してしか日本を見ることができないTimesの記事など、少なくとも日本に関しては全く読むに値しない。それを「裸の王様・Times」は全く理解していないし、これからも理解することはないだろう。

追記(1月5日):引用し忘れた記事を友人が指摘してくれましたので、以下ご参照ください。上述、マイケル・グリーン氏の主張が詳しく紹介されています。
【あめりかノート】「右傾化」批判の誤り ワシントン駐在編集特別委員・古森義久


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コメント

Ayakikkiさん、当然のごとく海外メディアも偏向しています。民主主義国であっても、韓国のような読むに値しないゴミ同然の全国紙が幅を利かせている国もありますし。

ただ、ある種健全なのは、例えばアメリカではFOXなどは保守色を前面に出して報道しています。日本のテレビは「放送法」の規定があるので、あれほど露骨に偏向はできませんが、僕は各メディアがそれぞれ「本音」をぶつけ合えばいいと考えています。

最悪なのは、日本の大手メディアがそうであるように、「不偏不党」「政治的中立」を装いながら変更していることです。本日の記事に書かせていただいたのですが、朝日・毎日は、いっそ自らの左翼としての立場を明確にすればいいのに、と個人的には考えています。

いずれにせよ、どの国であれ、大手メディアの連中は、一筋縄ではいかない奴らだと認識しておくことが肝要かと思います。

◇少しショッキングでしたが…

大変、勉強になりました。
偏向報道は「日本のマスコミ」の専売特許のつもりになっていましたが、考えてみるとマスコミと云う存在に「宿命的な部分」も当然在る訳で…
しかし、だからこそマスコミの「報道姿勢」や「モラル」が大切なのでした!

いずれにしても、読者側が「当のメディア」の性質を知っているのと、いないのと、天地の差が生じる事は明らかなので、本稿は勉強になりました。
※できれば米国人向けに、英文も書いた方が良いかも…?

それにしても、「アサヒ恐るべし」!

拙ブログを読んでいただき、またコメントをいただきまして本当にありがとうございます。

ご指摘いただきました点につきましては、全く異存はございません。「東京大空襲」を始めとしたアメリカ軍による民間人の殺戮。それは、彼らが東京裁判において日本人に課した「人道に対する罪」そのものだと思います。

また原爆につきましても、彼らには、同じ白人国家であるドイツに落とすという選択肢は全くありませんでした。アジア人であり、彼らにとっては「猿」程度の存在でしかない日本であれば、原発の威力を確認するのに最適な「モルモット」だったのです。

それを認識しながら、敢えて本稿でそれに触れなかったのは、それを主張すれば、中韓が日本を批判し続けるのと同じような、日本人である著者による感情的なアメリカ批判と判断されると考えたからです。

僕らは中国人、韓国人とは違います。確かにアメリカ軍が行った行為は「非道」なものでしたが、それを批判し続けても何ら建設的な議論にはなり得ません。

僕は、原爆、あるいは空襲の犠牲になった身内を持たないので、「呑気なことを言いやがって」と批判されてもしようがありません。それでも、戦争という異常な状況の中でなされた行為を、あたかもそれを行った国、あるいは国民全体が異常であり、その罪は永遠に許されることはない、というような議論に与したくはありません。

米軍が行った行為を決して許すことはできませんし、忘れることもできません。ただ、「罪を憎んで人を憎まず」という日本語が象徴しているように、戦時に行われた行為に対して、「ゆすりたかり」をしたくないというのが、僕の日本人としての矜持です。

平時に育ち、苦労知らずの僕が偉そうなことを言うのをどうかご容赦ください。ですが、それが率直な僕の歴史観であり、短い文章で表せる全てです。

慰安婦になってでも生きたい(子供だけでも助けたい)人は沢山いたでしょうに。
民間人居住区域に対して、焼き払うことを戦術とした焼夷弾爆撃で年寄りや女子供まで焼き殺した民間人虐殺の戦犯国家はアメリカです。
放射能の影響を知っているのに2発も原子力爆弾を投下し、その後爆心距離毎の影響データ取りをして人体実験をしていた戦犯国家もアメリカです。
生きるための選択肢も与えずに妊婦や赤ん坊まで焼き殺しておいて、説教を垂れる資格があると思っているのがおめでたいですよね。

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