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2012年11月 1日 (木)

Thanks, the Christian Science Monitor and Mr. Grant Newsham!! -尖閣問題でアメリカからの援護射撃-

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10月30日付のmsn産経ニュースは、米海兵隊や外交官として在日米大使館に勤務した、弁護士のGrant Newsham氏が、アメリカの有力紙The Christian Science Monitorに、"US must clearly back Japan in islands dispute with China"と題した、尖閣問題においてアメリカ政府は明確に日本を支持すべき、との論文を寄稿したことを報じた(原文)。

この論文は、日本にとって非常にありがたいものだと言える。何故なら、日本人が主張すればアメリカ人から反感を買いそうなことを、アメリカ人自身が主張してくれたのだから。

The Christian Science MonitorThe New York TimesThe Washington Postのようには日本で知られていないが、その情報の正確さ、また記事においての視野の広さからアメリカの知識層に影響力のある新聞だ。その紙面において、「日本を支持すべき」と論陣を張ってもらうことは、日本にとって大きなプラス材料になる。

Newsham氏は、日本は民主的な政府、法による統治、表現の自由、公正な貿易、そして財産権の保護といった、合衆国が尊重する価値観を共有している国だという点を強調。これは、裏を返せば、中国はそのような国ではないことを示唆している。

また、日本は韓国、ロシアとも領土問題を抱えているが、軍事力による威嚇や経済制裁などをそれに持ち込んでいないことも評価。一方中国は日本に対して、尖閣周辺海域への監視船の侵入による嫌がらせを行い、国民を煽って反日暴動を起こし、経済制裁を課している。そしてメディア共々、攻撃的、かつ侮蔑的な日本と日本人への中傷を繰り返していると主張。

日本人にとってみれば、至極当然の主張だと思われる事柄だが、アメリカ人であるNewsham氏が的確にそれを指摘してくれていることに関しては、感謝の念を禁じ得ない。不思議なのは、何故、日本の大手メディアがきちんとこうした主張をしてくれないのか、ということだ。何も愛国的な報道をしろと言っているのではない。客観的な事実をそのまま伝えればいいだけの話なのだが。日本のメディアというのは、つくづく常人には理解できない連中である。

以下、尖閣問題において米政府が取るべき対応と氏が主張することを要約する。


アメリカは、自国にとっての二大貿易国である日本と中国の対立が過ぎ去っていてくれればいいと考えている。日中の対立は収まりつつあるようにも見えるが、アジアの危機へとエスカレートする可能性があるし、それはまさにアメリカの安全保障の危機である。

アメリカは日中両国と良好な関係を保ちたいと考えているのだろうが、時には明確に一方を支持しなければならないこともある。国際関係における曖昧な態度は有効な場合もあるが、この問題はその範疇にはない。民主国家であり同盟国である日本を、明確に支持しなければならないし、その動きをアジア諸国はしっかり見ている。

そして日本を支持するならば、曖昧な言葉を使ってはいけない。例えば、1990年、アメリカ大使はサダム・フセインと微妙なニュアンスの言葉を用いて会談を行った。それをフセインはクウェート侵攻へのお墨付きだと解釈したのだ。

尖閣問題の解決には数十年、あるいはそれ以上かかるかもしれない。それでもアメリカは、たとえ経済的犠牲を払ってでも、辛抱強さと断固たる姿勢を示さなくてはならない。

悪事を働いた者が利益を得れば、繰り返し悪事を働きさらに利益を得ようとする。尖閣問題で譲歩すれば、遠からず同じような問題がアジアで起こるだろう。



全くの正論だと思うのだが、産業界からの圧力もあるので、残念ながらアメリカ政府は余程のことが起こらない限り、尖閣問題において日本支持を表明することはないだろう。

それでも、アメリカの有力紙にこうした主張が掲載されることは、プロパガンダでは常に相手国に敗北している日本にとっては大いなる追い風だと言える。

少し前に米国務省の元東アジア・太平洋局日本部長Kevin Maher氏がテレビ番組で、「様々な中国の船が尖閣諸島周辺に接近してきている現状を見ていると、中国が尖閣の実効支配を宣言するための準備である可能性がある」という主旨の発言をしていた。誰も日本人が駐留せず、何の設備も設置されていない状況を放置しているわけなので、このMaher氏の指摘も傾聴に値する。

知日にして、かつアメリカのアジアでの利益を冷静に考えてくれるアメリカ人のみに頼っているばかりでは情けなさ過ぎる。これはNewsham氏も論じていることだが、当事国である日本が積極的な動きを見せなければ、決して状況は好転しない。好戦的になる必要は全くないが、日本の政治家も国民も、心から自国の利益を護る覚悟を持たなければ、いずれはアメリカからも相手にされなくなる。この点も、次期総選挙での大きな論点の一つであることは間違いない。

P.S. Newsham氏は上述以外にも、日中関係において、極めて冷静な分析をしてくれているので是非紹介したいのだが、あまりの長文になってしまうので、ここで筆を収める。取りあえず、上記の原文を読んでみていただきたい。


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