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2012年11月28日 (水)

第三極 対照的な針路 ‐「参集」未来の党と「独歩」みんなの党 そして小沢氏‐

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(写真はそれぞれ左・毎日新聞 右・みんなの党ホーム・ページより)


昨日(11月27日)、第三極で二つの動きがあった。

一つは、滋賀県の嘉田由紀子知事が「卒原発」を旗印に、次期総選挙に向けて「日本未来の党」を結成することを表明し、小沢一郎代表の国民の生活が第一、河村たかし共同代表の減税日本・反TPP・脱原発を実現する党(脱原発)が合流することとなり、みどりの風も前衆議院議員3人が合流することを決めたこと(本日付毎日jp)。

もう一つは、合流協議を続けていた日本維新の会とみんなの党は、みんなの党の渡辺喜美代表が、「選挙のための合流は政治不信を招く」と判断し、合流は見送りとなったこと(昨日付YOMIURI ONLINE)。

それぞれに様々な事情があるとはいえ、複数の政党が参集する未来の党の流れ。それに対し、少なくとも現時点では独自の道を歩むと決めたように思えるみんなの党の決断。いわゆる「第三極」の動きとしては非常に対照的な動きである。

未来の党を立ち上げた嘉田氏は、環境社会学者を経て滋賀県知事となったというバックグラウンドから、いわゆる脱原発に相当の思い入れがあると考えられる。今回の決断も、橋下氏が太陽の党と合流し、脱原発色が薄れたことが大きな要因であると述べている。

嘉田氏を担ぎ出したと言われている小沢氏にとっては、脱原発はあくまで選挙のための方便であり、それほど強い目的意識があるとは到底思えない。脱原発という有権者から受け入れられやすい主張と、嘉田氏のクリーンなイメージを、同じ第三極の維新、あるいは既存政党に対する「札」として使うことにしたのだろう。それは脱原発(党名)も同様であろう。

嘉田氏には彼女なりの計算があるのだとは思うが、僕から見ると(僕だけではなくおそらく多くの人には)、選挙目当ての連中が嘉田氏を利用しているようにしか見えない。「いつか来た道」のように思えるのだが。

例えば、前回総選挙で民主党は「政治主導」を掲げ、国家戦略室を設置し、そこを司令塔として抜本的な予算組み替えを行うとしていた。しかし結果はどうか。最初の予算編成は、当時幹事長であった小沢氏主導で行われ、そこで民主党が主張していた理想はあっけなく崩壊し、マニフェストに掲げた政策もどんどん後退していった。その後、国家戦略室が現実の政治において機能した形跡はほとんどない。

僕は小沢氏を好きでも嫌いでもない。ただ、単純に彼の政治行動だけを見て判断すると、この人は結局、政策の人ではなく政局の人なのだと感じる。政権を取ること自体が目的であって、その先には何もない。昔の彼はしっかりとした国家観と政策を持っていたと思うのだが。今の、権力(彼の場合は自分のというよりは自分の組織のと言えるかもしれない)のみを追求する彼を見ると残念でならない。

かと言って、僕は未来の党を「選挙互助会」と批判するつもりはない。民主主義においては、結局のところ「数こそ力」であることは間違いないので、それを最大化するために小沢氏が全力を尽くすことは当然だ。それを僕自身が支持するかどうかはまた別の問題だが。

一方、みんなの党の維新との合流決裂。これは「アジェンダ」を最重要視する同党としては必然だっただろう。元々の維新が太陽の党と合流し、企業・団体献金を事実上容認し、脱原発で後退。しかも太陽の党=たちあがれ日本の面子を見れば、古い自民党の面々ばかり。行政改革がみんなの党の「1丁目1番地」であることを考えれば、渡辺氏としては石原氏合流後の維新とは、アジェンダが合おうはずもない。加えて、そもそも人間同士として、橋下氏と渡辺氏はそりが合わないようにも見える。

それだけではなく、選挙区での候補者のバッティング、地道に組織を築いてきた同党と取りあえず勢いだけの維新、そして次期参議院選挙以降も見据える渡辺氏に対して、この選挙で最大の議席数を得たいと考える橋下氏。これはもう破談となって当然だろう。

僕はみんなの党にとっては、この決断はプラスだと考える。何よりアジェンダを重視することによって支持者を獲得してきた同党が、今更「風」重視で維新と組めば、同党の存在価値は一気に雲散霧消する。

個人的には、ほとんどの政策でみんなの党の主張に賛同するし、政党としては最も支持している。特に行革、及び議員定数削減など、「増税の前にやるべきことがある!」と彼らが主張している点は、これまで発表された選挙公約の中で最も評価できると考えている(みんなの党「2012 アジェンダ」参照)。

しかし…、である。この党には、安倍氏、石破氏、橋下氏、石原氏のような、他党には存在するある種の「スター」がいない。渡辺氏も話が面白いと思うし、幹事長の江田憲司氏も常に論理的整合性を持った議論を展開する立派な論客ではあると思う。しかし、うーん…、「華がない」と言うべきなのだろうか、全国区で戦える「顔」足り得る人が見当たらない。

全くの余談だが、渡辺氏の父、渡辺美智雄元副総理は、その能力を栃木弁丸出しの語り口で覆い、「ミッチ―」として国民に親しまれた。まぁ、失言も多かったが。彼が蔵相時代、「レコード大賞」にゲストとして参加していた時、マッチに対して、彼が歌っていた曲名と絡めて「国民の皆さんには、ギンギラギンに稼いで、さりげなく納税してもらいたいね」と語っていたことはよく覚えている(大きく話が逸れてしまいました。済みません…)。

また、アジェンダで純化された政党ゆえ、広がりに欠ける。これは同党が背負った宿命と言えるのかもしれないが、いくら素晴らしい政策を主張していても、民主主義においてはマジョリティーを構成しなければ何もできない。この点は、上述の小沢氏のような選挙至上主義の政治家たちとは180度違う点だ。未来の党との連携話もあるようだが、同党がアジェンダを最優先する限り、決してまとまることはないだろう。

元自民党副総裁・大野伴睦氏は語った。「猿は木から落ちても猿だが、代議士は選挙に落ちればただの人だ」。小沢氏の発想もそこに由来しているだろうし、恩師である田中角栄元首相の「数こそ力」という思想を受け継いでいるということもあるだろう。それが現実の政治だと言える。

対して渡辺氏の「アジェンダ至上主義」は、理想ではあるけれども、大多数の政治家が選挙一番、政策二番(以下?)と考え続ける限り、残念ながら大きなムーブメントになることはないだろう。

しかし、と考える。見え見えの小沢氏による数合わせに、民主党政権に十分懲りた有権者が、今更易々と騙されるだろうか?一方、例え大政党になれなくとも、みんなの党が地道に活動を続けていれば、キャスティング・ボートを握れる場面が出てくる可能性もある。

選挙至上か政策至上か。この、ある意味での二律背反。その象徴ともいえる未来の党とみんなの党。その両党に、昨日同時にターニング・ポイントと言える動きがあったのは、何とも皮肉というか、運命の巡り合わせの不思議さを感じた次第である。

こうした動きを見ると、結局、維新と太陽の党が合流したことにより、嘉田氏も小沢氏も新党への流れを決断し、同時に、みんなの党は維新から弾き出されたということになるのだろう。そういう意味では、選挙結果がどうなるのかは分からないが、維新は既に第三極を十分かき回したことになる。

さて、明日はどのような離合集散の動きがあるのか。公示日までは目が離せない。


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コメント

Ayakikkiさん、こんばんは!「お褒めの言葉」、ありがとうございます(笑)。27日のニュースを見て、未来とみんなが、共にマスコミの言う「第三極」にありながらも、180度思想が違っているとふと感じたんですよね。

今回は歴史に残る選挙になりそうですね。その場に立ち会えることの幸運と責任を感じつつ、賢明な選択をしたいですよね。

◇今回のMichさんは・・・

とてもクールに「客観分析」に徹していますね!
的確な現状分析だと感じました。
2つの対照的な「針路」と政治力学。。。
考えさせられる所の多い評論でした。

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